12月26日 (火)  第141号

 12月23日、天皇誕生日恒例の宮中祝宴に、妻とともに出席した後、午後3時からN響の「第9」演奏会に出かけました。
 年末にはN響に限らず「第9」の演奏を聞くことを私たちのキマリとしています。
 言うまでもなく、ベートーヴェンの第9は、「運命」や「田園」と並ぶ広く知られた名曲であると同時に、日本人にとって音楽を越えたある種特別なものとなっており、私も「第9」を聞かないとスムーズに新年が始まらない想いがあります。
 「第9」の演奏は何故、年末に集中するのかよく判りませんが、それにはNHKとN響が少なからず関係があるようです。
 N響の創始者である近衛秀麿が初めて第9を取り上げたのは昭和3年12月の定期公演ですが、ドイツの習慣を持ち込んで意図的に「第9」を年末のイベントにしたのは、有名な指揮者のローゼンストックです。
 また、その演奏をNHKのラジオ(後にはテレビも)が全国放送することによって、一挙に拡まりました。N響にとっても年末の「第9」演奏は定番となり、他の日本のオーケストラを含め、その収入が貴重な「モチ代」となっています。
 当日は、今売り出しの指揮者である上岡敏之氏も溌溂とし、歌手はいずれも大柄な外国人で迫力があり、超満員の客席は大いに盛り上がりました。
 私たちも少しは文化度が上がったような気分で、ハッピーでした。