7月28日 (金)  98号

 少子化の厳しい流れのなかで、産婦人科医の減少が改めて問題となっています。今や妊婦がお産のできる施設を探してさまよう「お産難民」という言葉まであります。産婦人科医の高齢化も顕著で、医師や施設の減少の方が少子化のペースよりも速いのではないかと指摘されていますし、医師の有効利用や、施設の集約化・高度化が進む反面、地元に産婦人科医がいない地域が増加しています。医師の総数はこの10年間で約3.5万人増えて25万人を超えましたが、産婦人科医は900人近く減り、約1万人となっています。この内、60歳以上が4分の1を占め、一方、30歳未満の産婦人科医の6割以上が女性です。減少の原因は、厳しい職場環境と医療事故に絡む訴訟の増加で、産科離れが進み、それにより現場の医師の負担がさらに増えるという悪循環にあります。
 お産の安全のため、施設の集約化は当面必須だとは思いますが、併せて、助産婦の活用や医師の地域勤務を義務付けるなど、妊婦が安心して産める環境づくりが急がれる必要があります。