8月18日 (金)  104号

小泉首相は、終戦記念日の8月15日午前7時40分、靖国神社を参拝しました。8月15日の参拝は首相の自民党総裁選での公約ですが、過去5回は、中国・韓国などの関係も考え、日付をずらしての年一回の参拝でした。しかし、それでも批判・反発が同じなら、在任最後の今回は、初心に返って、公約どおりの参拝にしたと思われます。現職首相の8月15日参拝は、昭和60年の中曽根首相以来、実に21年ぶりです。中国・韓国は、例によって直ちに強硬抗議をしましたが、批判は抑制気味で、国内もほぼ平穏、ポスト小泉政権への配慮をうかがわせるものでした。
 靖国神社参拝問題が、ポスト小泉の第一の争点であり、中国・韓国との最大の懸案だとする捉え方には、私は反対です。アジア外交のあり方、とくに中国・韓国との関係改善は、わが国外交の最大の課題ですが、靖国神社参拝はその応用問題の一つとして考えるべきだからです。
これには、長い経緯とお互いの主張があり、それを真正面からぶつけるだけでは何の進展もありません。この問題を大人の知恵として向こうも言わない、こちらも考えることとして凍結できないか、一方で政府間の絶えざる対話と多元的、重層的な交流提携で、信頼を積み上げて行く、その上で冷静に歴史認識を検証し、違いは違いとして認めながら、お互いを良きパートナーとする共存共栄の関係を構築して行けないか、と私は考えています。