1月12日 (金)  146号

 消防の仕事の中で、増加をし続けているのが119番の救急業務です。消防庁によると、平成17年の全国の救急出動件数は、約528万件で10年前に比べて61%の増、この間、重症者や死亡者は数万人しか増えていないのに、軽症者は約100万人も増加、平成17年には全搬送人数の52%と過半数を占めています。その中をみれば、緊急性が低く、自分で病院に行けば済むケースが殆どであり、タクシー代わりに救急車を呼ぶ非常識な件数も少なくないようです。
 こういう事態が続けば、不必要な経費や手間がかかるだけでなく、本当に必要な重症者への対応がおろそかになって、重症者の救命率が低下する恐れがあり、大変に心配です。そのため消防庁は、重症度や緊急度によって救急隊が搬送順位を決める「トリアージ」の導入を検討し始めていますし、一部の市では悪質な利用者から過料を徴収することを考慮中ですが、どちらも判定の基準が難しく、直ちにワークするかどうか予断を許しません。やはり、この問題の抜本的な解決には、住民の節度と協力が不可欠と考えます。