11月30日 (金)  221号

「身分なき共犯」について

 11月28日午後、東京地検特捜部は、守屋前防衛次官を収賄容疑で、妻幸子さんを同容疑の共犯として逮捕しました。それは、守屋氏側が次官の権限を背景に、宮崎氏に多額の利益提供を求め、それに応じた宮崎氏側負担の十数回のゴルフ旅行の代金389万円がワイロに当たるとの認定によります。また、妻幸子さんは、ゴルフ旅行の大半に同行していた上に、宮崎氏側から妻名義の口座に二百数十万円が振り込まれていたことから、公務員でないとしても「身分なき共犯」に当たると判断したようです。「身分なき共犯」という言葉を始めて知りました。収賄罪は、公務員という身分が犯罪の構成要件ですが、公務員でなくてもそれに加担した場合は「身分なき共犯」として処罰の対象になるということです。

 予想はされていたものの、前事務次官が妻とともに逮捕されるということは、各方面に多大な衝撃を与えています。戦後の汚職事件で、事務次官経験者が在職中ワイロを受け取ったとして逮捕されたのは4人目、妻共犯というのは始めてです。いずれにせよ、真実は司直の解明を待たなければなりませんが、調達のあり方を含め防衛省の抜本改革は一日もゆるがせにできない課題です。