3月13日 (火)  163号

 限界集落とよばれる地域が全国に増えています。限界集落とは、長野大学の大野晃教授が提唱したもので、住民の半数以上が65歳以上の高齢者となり、冠婚葬祭や田役・道役などの社会的共同生活の維持が困難となっている集落で、いずれ無住化し、消滅してしまう限界的な状況から名付けられています。全国の過疎市町村の政府調査では、調査対象の一割を超える7873集落が該当し、うち10年以内に消滅ないし消滅が近い集落が2641としています。消滅すれば跡地は荒廃し、ガケ崩れや土砂災害、風倒木被害が出るうえに、病害虫の発生、廃棄物の不法投棄などの温床になります。これでは決して美しい国にはなりません。
 限界集落をどうするか、創意工夫によって存続を図ることが第一です。それには集落を出た人をもう一度呼び戻したり、団塊世代などの都市住民の移住を誘導、移住しないまでもセカンドハウスとしての活用を進め、一方、都市部との幅広い交流のベースキャンプにでもできれば新しい展望が開けます。しかし、それがムリなところは集落再編ですが、その場合には近くの拠点集落にできるだけ全戸移転を図りながら、残った農地は集約したり、跡地は林地に戻す、水の保全にも配慮するなど十分な国土保全と環境保護に努める必要があります。