4月20日 (日)  262号

空自イラク活動、違憲か

 自衛隊イラク派遣差し止めなどを求める集団訴訟の控訴審判決の傍論で、名古屋高裁(青山邦夫裁判長、退官のため高田健一裁判長代読)は、4月17日、航空自衛隊の空輸活動は、「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」との判断を示したうえに、イラク特措法にも違反するとしました。

 しかし、結論は原告側の差し止めと慰謝料請求の訴えを棄却し、1審と同様に国側の勝訴です。

原告側は上告しない方針ですし、国側も上告できませんので、判決は確定しますが、イラク派遣に対し、始めて違憲とするこの判断は傍論という形で示されたので、ほかの裁判への拘束力はありません。

 この傍論に対する主要紙の論調は大きく是非が分かれていますが、私は判決は違憲確認の請求を「利益を欠き、不適法」と判断しながら、傍論でなぜ違憲の疑義を表明したのか理解に苦しみますし、憲法判断はあくまで最高裁が行うべきであって憲法訴訟のあり方から言っても判決は極めて問題です。

 また、「戦闘地域」や「武力行使と一体化した行動」の判定にも大いに議論があります。
なお、空自の活動が国際平和協力行動として国連安保理でも承認され、国際社会にも大歓迎されていることもしっかりと考慮される必要があり、いち早く空自の活動の継続を表明した政府の方針は正しいと考えます。