4月8日 (火)  259号

わが国経済と政府の役割

 揉めに揉めた日銀総裁人事が、白川副総裁の昇格という、無難な形で納まりそうで、11日開催のG7に総裁が出席でき、関係者はホッとしております。

 もう1人の副総裁人事は、現時点では不明です。
 この一連の人事、日銀法の不備は不備として、双方にもう少しやり方があったのではないかと思いますが。

 さて、景気については、政府が公式に踊り場にさしかかっているという認識を示す一方、消費者物価の上昇などこれまでのデフレ下の景気拡大とは全く逆のインフレ下の景気低迷という局面に入ったと指摘されています。

 しかし、インフレというにはいささかオーバーで、2月の消費者物価が約10年ぶりに前年比1%upとなっただけ、食料とエネルギーを除いた消費者物価は全く落着いていますが、輸入インフレが国民生活を圧迫し始めたことも事実です。

 幸いなことに、ドル安の反動もあって円高が続いており、円高は輸入インフレを確かに抑制するわけで、トータルでは円高はプラスの効果が大きく、輸出絡みで、円高悲観論が先行している現状はバランスを欠いています。

 それにしても、こういう中でわが国政府の発信力の弱さは問題です、「状況を冷静に見守る」、「今後の動向は米国次第」など、政府も閣僚も皆、無責任な評論家のごとくで、政府として今何ができるか、何をなすべきか、わが国経済のビジョンを示しながら、しっかりした見通しとしかるべき対策を力強く発信することこそが政府の大きな役割だと考えます。