Diary 2006. 12
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12月1日 (金)  134号

 この数ヶ月、マスメディアの最大関心事の一つは郵政民営化造反組の自民党復党問題でしたが、それも平沼赳夫氏を除く11人の復党で、とりあえず決着します。安倍総裁の11月27日の役員会での指示通りに、12月4日の自民党・党紀委員会で決定される筈です。
 私は、この問題では終始同じことを主張して来ましたので、もう繰り返しませんが、2005の政権マニフェスト、安倍総理の所信表明に賛同することは当然の前提として、その上で原則一括復党、落選組はケース・バイ・ケースにならざるを得ないのでタイムラグがあってもよいこと、総括・反省は口頭がよいが文書の場合には内々の扱いとすること(誓約書は昨年の衆院選からすべての党公認候補から取る手続になっています。)、一方、郵政民営化には異論があるとしても、国会で既に確定した以上受け入れるべきこと、これを双方の妥協ということでなくバリエーションとして、まとめるべきだと発言して来ました。
 残念ながら、私の言うようにすべてがならなかったものの、信念対信念の対決はやむを得ないものですし、決着は決着として評価したいと思います。ただし、今回の決着を今後の自民党にとって良いものとする努力は、党員全部の務めです。


12月5日 (火)  135号

 12月4日(日)の日本経済新聞に、参議院選挙制度改革の片山私案なるものが報道され、アチコチから反響がありましたので、少し説明します。現在、参議院の一票格差是正問題については、最高裁判決の指摘と、議長の要請に基づき、2010年選挙での実現を目指す抜本改革案を、私が座長で与野党で構成する参議院改革協議会で検討に入っています。本格的論議はまだこれからですが、その過程で私が非公式に思い付きを述べたものが、私案として報じられたようです。
 その骨子は、衆議院は完全小選挙区制へ移行することを前提としつつ、近い将来道州制が導入されるとすれば道州単位の地域代表という考えを採って、参議院は全国区、道州区の2段階の比例代表制とし、その上で全国区は現在と同じく人物本位の非拘束名簿式、道州区は政党の意向を入れた拘束名簿式とするというものです。これにより、全国区と道州区の定数配分さえ工夫すれば、一票の格差は完全に2倍以下にすることが可能です。
 さらに、衆・参の2院制を有効に機能させるため、参議院に条約、決算、同意人事、地方案件等に対する優越権を認め、衆・参の役割分担と協力の関係をより明確にすることが検討されるべきでしょう。


12月8日 (金)  136号

 長野士郎氏が12月5日午前、逝去されました。このところ調子が悪いとお聞きしていましたが、突然の訃報でびっくりしました。満89歳、自治事務次官を経て、知事在職6期24年、全国知事会長も務め、全力疾走の人生で、さぞお疲れになったことと存じます。
 私は、旧自治省に入る直前から、同郷、同窓の先輩として知り合い、以降私的なことを含め、格別のご指導、ご厚誼を頂きました。とくに、岡山県庁に2度出向、1回目は加藤知事時代に総務部次長兼財政課長として赴任、1年後長野知事に変わり、県庁始まって以来最年少の38歳で企画部長にして頂き、2回目は最初から副知事としてお仕えしました。吉備高原都市、瀬戸大橋、新岡山空港という3大プロジェクトを強いリーダーシップで推進され、私はそれのスタート時を担当部長として支え、副知事の時はその最終段階を見守るという廻り合わせとなりました。今なら当然ですが、知事就任とともに唱えられた「人間尊重、福祉優先」のスローガンは斬新で反響をよび、県土保全条例、地方振興局などはその後の全国のモデルとなりました。
チボリ公園、苫田ダムなど、積極投資とその手法については評価が分かれるところでしょうが、知事として多くの業績を残され、岡山県発展の基盤を整えられたことは内外の等しく認めるところです。謹んでご冥福をお祈り致します。


12月12日 (火)  137号

 ここ2ヶ月、大騒ぎと言ってよい程、党内外で論議を重ねて来た道路特定財源の見直しが、12月8日(金)の政府・与党協議会において決まりました。私も12月6日から7日にかけて、塩崎官房長官や中川政調会長と何度も連絡をとり合い、その中味を詰めましたが、満点と行かないまでも、まずまずの及第点ではないかと考えています。
 その骨子は、@真に必要な道路の整備は計画的に進めることとし、19年中にそのための中期的な計画を作成する。それには、地域間格差の対応などの視点を踏まえ、地域の自主性も配慮する、A暫定税率も含め現行の税率水準を維持する、B20年の通常国会で法改正を行い、特定財源としている現在の仕組みを改める。また、毎年度予算で道路歳出を上廻る税収は、一般財源とする。C高速道路料金の引き下げ等の措置についても20年の通常国会に法案を提出する。
 私は、12月8日の政府・与党協議会の席上、道路特定財源は地方が主として負担しているにもかかわらず、国道に比べ地方道の整備が大幅に遅れていること、その推進には地方の自主性をできるだけ尊重すること、ムダな道路は要らないが地域が必要とする道路は必ず整備することを発言しておきました。政府側からは、私の発言を重く受けとめるとの表明がありました。


12月15日 (金)  138号

 このところ、一斉に安倍内閣の支持率低下を各メディアが報じています。なるほど、内閣スタート時、60%台後半から70%台前半まであった支持率が、この1週間前後の調査ではいずれも50%台半ばから40%台後半となっていますから、低下したのは事実でしょう。
 しかし、私は、一喜一憂することはないと思います。スタート時はご祝儀もあり、安倍総理の若さとスマートさ、フレッシュさに対する過大な期待もあった、また、それを裏付ける10月8日〜9日の電撃的な中国、韓国訪問による首脳会談や北朝鮮の核実験発表に対する素早い対処も追い風になっています。支持率はTVの視聴率と同じで、ちょっとしたことで変動するし、メディアの論調によっても相当な影響を受けるものです。最近では、郵政造反組の復党や道路特定財源の見直し等でメディアが安倍政権批判の包囲網を敷いていることが大きく関係しています。
 支持率向上に奇策や小細工は不要です。小泉総理と違う安倍カラーを出し、それを判り易く、端的に国民に訴えること、そして政権運営と政策展開の上で、しっかりと成果を国民に示すことに盡きると考えます。


12月19日 (火)  第139号

 タウンミーティングの「やらせ」問題は、本日閉会の臨時国会で、教育基本法改正に絡んで、最もきびしく政府が追及されたテーマです。
 この13日、調査委員会が全174回のタウンミーティングすべてについての調査報告書を発表、その結果、発言の依頼105回、発言内容の依頼18回、参加の依頼71回、謝礼金の支払い25回で65人、請負契約の経費の非常識な高さ、「さかのぼり」契約、精算のズサンさ等が明らかとなりました。
 そこで、安倍総理以下関係閣僚は給料の一部を返上し、関係職員は、行政処分を受けました。
 政府側は、開催が急遽決まり、しかも回数を詰めてやることになったが、時間的余裕もノウハウもなく、一方で、総理のお声がかりなのでイベントとして盛り上げねばならず、結果として、業者丸投げも「やらせ」もやむを得なかった、だが、回を重ねるにつれて、体裁も整ったという言いわけをしています。
 しかし、私は、タウンミーティングは、理念・方針を決めずに始め、十分な検討・準備もなく実行、自分たちの狭い考えで仕切り、しかもおカネを惜しまない役所の最も悪いところが出たケースだと思います。
 地方自治体か民間団体の主催の出前スタイルにすれば、もっとスマートに、もっと効果的に、おカネも半分以下で済むと考えますが、どうでしょうか。


12月22日 (金)  第140号

 12月22日、例年どおり、来年度予算の財務省原案が内示されました。かつてと違い、今は、予算編成作業は極めてスピーディです。骨太方針、シーリングなどで粗ごなしをしている上に、14日には来年度税制改正がまとまって税収見積もりも出来、18日には内示前大臣折衝で、大どころの地方財政対策、医療・介護、少子化対策、道路特定財源、私学助成なども決まり、残りは主として、個別予算で、党内の熱気は一段と低くなり、21日事務折衝、22日大臣折衝がつつがなく終了、24日は閣議決定となります。したがって、与党が前面に出るということはほとんどありませんでした。
 今度の原案は、好景気様々、名目成長率は2.2%の見通しで、国税は前年度比7兆5千億円増の53兆4千億円と見込まれ、それにより新規国債発行は過去最大の
4兆5千億円の削減で、25兆4千億円となりました。また、国のプライマリーバランスも前年度当初の赤字11兆2千億円が約4兆4千億円と大幅に縮小しました。しかし、国と地方の来年度の長期債務残高は773兆円で、依然高水準です。さて、来年度予算の最終的な出来ばえはどうなるか、乞うご期待です。


12月26日 (火)  第141号

 12月23日、天皇誕生日恒例の宮中祝宴に、妻とともに出席した後、午後3時からN響の「第9」演奏会に出かけました。
 年末にはN響に限らず「第9」の演奏を聞くことを私たちのキマリとしています。
 言うまでもなく、ベートーヴェンの第9は、「運命」や「田園」と並ぶ広く知られた名曲であると同時に、日本人にとって音楽を越えたある種特別なものとなっており、私も「第9」を聞かないとスムーズに新年が始まらない想いがあります。
 「第9」の演奏は何故、年末に集中するのかよく判りませんが、それにはNHKとN響が少なからず関係があるようです。
 N響の創始者である近衛秀麿が初めて第9を取り上げたのは昭和3年12月の定期公演ですが、ドイツの習慣を持ち込んで意図的に「第9」を年末のイベントにしたのは、有名な指揮者のローゼンストックです。
 また、その演奏をNHKのラジオ(後にはテレビも)が全国放送することによって、一挙に拡まりました。N響にとっても年末の「第9」演奏は定番となり、他の日本のオーケストラを含め、その収入が貴重な「モチ代」となっています。
 当日は、今売り出しの指揮者である上岡敏之氏も溌溂とし、歌手はいずれも大柄な外国人で迫力があり、超満員の客席は大いに盛り上がりました。
 私たちも少しは文化度が上がったような気分で、ハッピーでした。


12月29日 (金)  第142号

 12月26日の総務省の発表によると、全国の地方公務員数が今年の4月1日現在、299万8402人となり昭和51年以来30年ぶりに300万人を割り込んだことが明らかになりました。
 ピーク時は、平成6年の328万2492人で,以降減少に転じ、それが12年続き、今回昭和50年の調査開始以来、対前年度比では過去最大の4万3720人の減となり300万人割れとなったわけです。政府の本年度の骨太方針の歳出歳入一体改革には、地方公務員数を平成22年度までに平成17年度比で5.7%減少する目標を掲げており、今回、その意味では一定の前進を示したことになります。
ただ、国と同じように公立病院などを独立行政法人化し、職員の身分だけを公務員からはずす手法もとっていますので、歳出削減効果の方は、必ずしも定かではありません。
 同日、地方公務員の給与も発表されましたが、今年4月1日現在の一般行政職の基本給は国を100とした場合の水準を示す「ラスパイレス指数」で98.0でした。前年と同水準で3年連続、国を下回りました。厳しい財政状況のなかで、地方自治体が独自の給与カットに取り組んでいることの反映であり、結構なことだと考えます。


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