Diary 2006. 5
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5月3日 (水)  73号

 米軍基地再編に絡み、在沖縄海兵隊のグアム移転経費の取扱いが注目されています。マスコミの一部には、この移転は、米軍の世界戦略の一環なのだから、日本が負担しなくてよいという主張がありますが、今回の移転は、もともと沖縄県にある米軍施設区域の整理・統合・縮小という負担軽減の強い要望と抑止力の維持という両面を考え、政府が米側に積極的に働きかけて勝ちとったものですから、そうはいきません。
 米軍が、日本国内で部隊を移転する場合、日米安保条約に基づく地位協定で、その費用は基本的に日本が持つことに決まっています。今回は日本国内に適地がないため、海外に移転しますが、海兵隊の任務には依然として日本を守ることが入っていますので、海外だから負担は別だということは理由にならないでしょう。
 額賀防衛庁長官がワシントンに乗り込んでラムズフェルド米国防長官と合意した負担割合は、全体が102.7億ドルでわが国が約59%の60.9億ドルを負担、しかし、真水(財政支出)は28.0億ドルを上限とし、米側の31.8億ドルを下廻るものですから、総合的にみれば、まずまずの妥当な結論と考えます。


5月6日 (土)  74号

 竹中総務大臣の私的諮問機関の「地方分権21世紀ビジョン懇談会」が、4月28日発表した中間取りまとめ案が関係方面に波紋を拡げていま。この件で、竹中大臣は私のところへ2〜3度来られ、意見を求められましたが、私は是々非々の立場です。新地方分権一括法の提出、国と地方の税源配分の見直し、国庫補助負担金の廃止、削減などの定番に加え、目新しいものに、@地方交付税を人口、面積に応じて配分する新しい仕組みを中心にする、A地方債を完全自由化し、償還には交付税を充てない、B再生型破綻法制をつくり、第三者機関による早期是正を図る、などがあります。
 AなりBなりはいささか観念先行で実態に沿いませんが、想いは判ります。@の地方交付税のうち普通交付税については、第一種と第二種に分け、第一種は地方自治体の人口と面積で配分、基幹的な存立・維持の財源を保障し、第二種は、国に連動する施策や地方の独自施策を行う財源を補填し、そのため配分がある程度政策的で複雑でもやむを得ないというのが、私の持論です。如何でしょうか。


5月9日 (火)  75号

 ゴールデン・ウィークが終了しました。子供の頃、夏休みが終わったときの満足感や淋しさと似た想いを感じています。今年は4月29日から5月7日までの大型連休で、国内移動は6千万人を越え、海外脱出は史上空前の60万人以上のようです。私は連休前の参議院自民党の議員総会で、連休明けから会期末まで実質1か月、重要法案目白押しの終盤国会のため、心身の充電をしっかりしてください、海外に行かれる人はとくに健康にご留意を、と申し上げました。
 私自身、総務大臣在任中は、大体この時期は海外出張でしたが、退任後はおおむねプライベイトな休養に充てています。今年もTV出演の他は、友人夫妻と2組でのゴルフ旅行、知多半島のおもちゃ王国視察、東京ドームでの野球観戦、地元での備前焼作家の釜出し、各種行事への参加などで過ごしました。もう少し読書をすればよかったとも思いますが、例年と比べ、こんなところかなと自分なりに納得しています。


5月12日 (金)  76号

 民主党代表の小沢一郎氏が、代表就任後も国会の本会議を欠席し続けていることが、某紙の報道により明らかとなり、話題をよんでいます。
 また、4月中一度だけ本会議に出席したときも、冒頭の数分間だけで途中退席しています。
 もともと、党の会合等にも余り顔を出さないので有名ですが、本会議出席は国会議員にとっては最大の職責であり、同時に最低限の義務と言ってもよいものです。
 本人は、これは、「十数年前に心臓疾患後、食事後すぐ仕事にかからないよう医者から忠告を受け、守り続けている」と釈明したようですが、それが医学的に正しいことなのかどうかは別にして、国会議員として、しかも野党第一党の党首として、それが欠席の正当な理由にならないことは明白です。
 本会議に出席できないのであれば、代表を辞任し(本当は国会議員を辞任してもいい位ですが)、身体をしっかり治してから出直すことを、小沢氏にお勧めします。


5月15日 (月)  77号

 「共謀罪」創設を柱とする組織犯罪処罰法改正案は、国際組織犯罪防止条約に基づく国内法整備のためのものですが、現状は、国際的な取り決めである「共謀罪」につき、野党と一部のマスメディアがことさら大仰に問題点を言いたてて不安を煽っているような感じがします。政府・与党が特定の意図をもってこの「共謀罪」を拡大解釈・運用し、一般市民、団体などの権利を侵害し摘発しようなどとは今日の状況ではおよそ考えられないからです。
 現在、与野党が修正協議を続けていますが、条約が「懲役4年以上の罪」を対象にし、「国際的犯罪に限定しない」ことを義務づけている以上、民主党が言うように、それをさらに絞り込むことは条約の要件を満たさないだけでなく、テロ対策など犯罪防止の国際的ネットワークに穴があくことから、わが国として到底容認できないでしょう。条約には賛成しながら、その枠内の国内法整備にはダダをこねる民主党などの翻意を強く望みます。


5月19日 (金)  78号

 私が委員長をしている自民党の通信・放送産業高度化小委員会が、4月17日まとめた「今後の放送・通信の在り方について(素案)」がそれなりの反響をよんでいます。TVやインターネットや携帯電話は今や国民にとって生活インフラですが、その改革の方向を打ち出したのですから当然です。
 NHK改革については、@外国人向けの新たな国際放送チャンネルの創設とそのための国費投入を検討すること、A受信料支払いを義務化し、受信機の購入情報・住所移転情報の活用を図ること、B経営委員会などガバナンスを強化し、コンプライアンス徹底のため第三者機関を設置すること、を提言、民間放送については、ハード・ソフト一致原則の堅持、県域免許の維持、マスメディア集中排除原則の緩和などを指摘、NTT改革については、「拙速に結論を出すべきでない」とした上で、2010年ごろにNTT法などの抜本的改正を検討すべきだとしています。
 政府の考え方との調整が必要ですが、最終仕上げをどうするか、乞うご期待です。


5月23日 (火)  79号

 政府・与党は5月22日、財政健全化と経済成長戦略を協議する「財政経済一体改革会議」の初会合を開きました。私もメンバーの一人ですが、政府からは小泉首相の他、主要閣僚、与党からは自民党5役らと公明党幹部が参加する大会議でし。この会議の下に官房長官と与党政調会長などの実務者協議会を置き、6月下旬までに、ここで集約した意見を骨太方針に反映させ、閣議決定する考えです。
 これまで、小泉内閣は、骨太方針に盛込む政策論議は経済人や学者ら民間議員も入った経済財政諮問会議(議長・小泉首相)中心に官邸主導で進めて来ました。今回、この会議を発足させたのは、国民に痛みを求める歳出削減や増税を進めるには、今まで往々にしてそれに抵抗して来た与党の理解と協力が不可欠だと判断したためでしょう。会議では、早速与党側から来年の参議院選挙への影響に配慮すべきだ、地方切捨てにならないようにとの注文が付きましたが、この会議を単にセレモニーに終わらせないためには、これからいくつかの工夫が必要です。


5月26日 (金)  80号

 政府や自民党(委員長は私です)のNHKの改革論議で国際放送の強化が焦点の一つになっています。短波の「ラジオ日本」は、現在22言語で1日のべ65時間放送し、放送法でNHKの必須業務とされたこともあり、85億円の予算のうち23億円は国の交付金です。テレビの方は、3つの衛星を使ってニュースや情報番組を全世界に24時間放送する「NHKワールドTV」が無料で180か国・地域の7200万世帯が視聴可能です。字幕などの英語化率は60%台で、今後3か年計画で100%をめざしますが、この予算28億円はNHKの自主的放送として受信料です。各国のCATV、衛星放送局に有料で番組を配信する「NHKワールドプレミアム」も、100の国・地域で1500万以上の世帯やホテルが契約していますが、主に在留邦人や日本人旅行者向けに大河ドラマなどの娯楽番組も流しています。
 いずれにせよ、国際放送の強化として、新たなチャンネルの創設や各国での受信環境の整備などを進めるには、何よりも財源の問題を解決しなければなりません。私は、当面は国費の投入しかないと考えています。


5月30日 (火)  81号

 ポスト小泉の動きが加速するなかで、再び派閥のあり方が問われています。かつて自民党は単一政党でなくいくつかの派閥の連合体で、政権は派閥間を行ったり来たりの疑似政権交代が行われていると言われました。経世会全盛時代に議員となった私は、派閥は、総裁を奪取することを主目的として結束し、その効用は、一に選挙での応援、二に人事で有利、三、四がなくて五に政策に強くなる、と教えられましたが、相次ぐ選挙制度や政治資金制度の改革と小泉政権5年間で大幅に変わり、今は、一、二なく、三に政策、四に選挙、五に人事になっています。
 現在の方がベターだという意見もありますが、私は衆参四百人以上の議員を擁する自民党のような大政党は、執行部が一律に世話するよりも、気の合った、政策も近い者同士がグループをつくり、グループ内では相互扶助、グループ間では政策提言など切磋琢磨が自民党の活性化のためにも、ひいては日本の政治のためにも良いような気がします。


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