Diary 2006. 6
メニューに戻る
6月2日 (金)  82号

 5月31日、九段会館で、地方自治危機突破大会が開かれ、私も自民党を代表して出席し、挨拶をしましたが、超満員の皆さんが大いに沸いてくれました。
 この大会は現在、政府・与党で検討している歳出・歳入一体改革の中で財務省などが執拗に主張している地方財政の大幅な歳出削減と、削減前提の地方交付税の見直しに断固反対するために開いたものです。
 社会保障、公共事業、文教等と違って、地方財政は歳出の一分野ではなく、かつ、地方交付税も最終支出ではありません。
 全体の行政サービスの6割以上を地方が担い、そのなかで地方独自の財源となるのが地方税とともに地方交付税で、総額は各年度の地方のトータルな歳入・歳出を示す地方財政計画の策定によって決まります。
 他の歳出のように、頭からいくら削減することができる性格のものではありません。
 国・地方を通ずる合理的な歳出削減を進め、結果として地方財政計画が圧縮され、地方交付税が抑制されることはあるかも知れませんが、それにしても地方側の十分な意向を聞く努力は必要でしょう。


6月7日 (水)  83号

 各地の社会保険事務所で行われた国民年金保険料の不正免除が、全国的に大きな問題となっております。本来は支払い能力のない未納者のための免除・猶予制度が、納付率引き上げという組織の保身に悪用されたのです。数々の不祥事件を起こし、平成16年7月、村瀬損保ジャパン副社長を長官に迎えて出直した筈の社会保険庁が、またまた今回の事件、国民は呆れ返っているでしょう。村瀬長官が納付率にノルマを課して、事務所間で競わせ、人事考課とも連動させたのが今回の原因だと野党は批判していますが、本末転倒もはなはだしい、事務所の現場が組合管理で馴れ合いとなり、職員に法令遵守という基本的な認識が欠けていたことが原因です。
 国民の信頼回復のため、早急に事実の全貌とその責任を究明し、分限免職の検討、広域的な人事配置など、有効な再発防止策を確立するとともに、現在国会に提出している社会保険庁改革法案の再なる見直しも図るべきです。


6月9日 (金)  84号

 6月6日夜、「観光立国推進全国大会」が、都内のホテルで盛大に開かれました。私も出席し、挨拶をしましたが、参加者の熱気はムンムンでした。政府も「ビジットジャパン」等、観光立国に向けての諸施策を進めておりますが、外国に出かける日本人は約1720万人なのに、日本に来る外国人は約680万人で、これだけ見ても成果の方はもう一つでしょう。
 観光は「国の光を観る」総合産業で、非常に裾野が広く、その振興が多大の経済効果や雇用効果をもたらし、地域の活性化にも大きく寄与することから、21世紀のリーディング産業と言ってよく、現在、観光振興に主要国は鎬を削っています。
 私は、かねがね、地域づくり、国づくりの基本は、孔子の言う「遠き者来たり、近き者喜ぶ」だと思っています。遠くにいる人は、行ってみたいと願い、近くにいる人は、住んでよかったと喜ぶ、そういう国や地域をつくること、それは観光振興の究極の姿でもあります。


6月13日 (火)  85号

 政府・与党は、6月12日、財政経済一体改革会議の実務者協議会を開き、2011年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するため歳出削減などの協議を開始しました。政府側は、黒字化に必要な財源額は17兆円程度になると説明、与党に歳出削減への協力を求めたようですし、一部報道ではすでに制度改正等で別に地方公務員の人件費や医療費等の削減が見込めるため、実質的な不足額は15.5兆円に圧縮されると伝えています。
 不足額は、当然歳出削減と税収増で埋めるわけですが、この額の積み上げの信憑性に疑問があるだけでなく、税収増にも経済成長による自然増収と税制改正による増税があり、その割りふりをどうするのかも大きな課題です。私は、改革は何のためにあるのかについて十分な認識が必要な上に、数字についてはいずれも砂上の楼閣であって、具体性に乏しく、精査しなければ議論の役に立たないと考えています。


6月18日 (日)  86号

 通常国会(第164国会)が、150日間の会期を終え、6月18日に閉幕します。内閣提出の法案84件、条約14件等が成立し、その比率は90.7%ですから、例年に比べて遜色はありません。ただ、当面国政選挙もなく、国会を延長できない大きな理由が見出せないなかで会期延長なしは異例です。そのため継続となる法案には、教育基本法、憲法改正手続法、条約刑法、社会保険庁改革2法、防衛省移行法、道州制法など大物がズラリです。
 小泉総理は、6月14日夜、記者団に対し、「私は9月に退任することが決まっている。外交もある。国会閉会中もやるべきことは山積している。そういう観点から延長は必要ない・・・・・。」と語っています。確かに本音かも知れません。とくに、今後、訪米、ロシアサミットなど外交日程は立て混んでいますし、骨太方針の策定など小泉改革の総仕上げや、ポスト小泉選びにも時間的な
ゆとりが必要と思われたのでしょうが、自ら提出した重要法案を、提出しただけで事足れりとするのではなく、会期延長してでもきちんと処理して、有終の美を飾るという考え方も当然あるわけで、ここは仲々難しいところです。


6月20日 (火)  87号

 サッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会で6月18日、日本が第二戦のクロアチアと対戦し、0対0で引分けました。私も午後10時前から午前0時まで熱心にTV観戦しましたが、勝てず残念でした。日本の目標である二大会連続の決勝トーナメント進出(16強入り)は、大変に難しくなりました。日本のシュートが少なかった初戦のオーストラリア戦の敗北が大きく響いています。
 私は、年代的にも野球世代で、子供の頃は草野球に親しみ、高校、大学では柔道をやったものの野球も好きで、今でも時々、プロ野球を見に行きます。しかし、Jリーグができた頃からサッカーにもなじみ、前の日韓共同のW杯では、何回か横浜スタジアムに行きました。サッカーは時間が決まっていて、動きが速く、終始緊張感があり、結構面白いと思います。このところプロ野球は、少し時間がかかり過ぎで間延びしていないでしょうか。


6月23日 (金)  88号

北海道をモデル地域として道州制の先行導入を狙った「道州制特区推進法案」は、通常国会の会期終了で継続審査となりました。
 法案は、道州制特区を特定、国からの権限移譲を重点的に進めることを内容とし、特区の対象となる地域を「特定広域団体」と位置づけ、北海道に加え、関係が密接な3つ以上の都府県を一体とした区域も含めることにしています。法案を憲法第95条が適用となる住民投票が必要な地方自治特別法とせず、一般法にするためです。
 全国知事会は、地方分権に役立つとしてこの法案を支持し、北海道は今年度中の施行を前提に準備を急いでいますが、法案の柱となるべき権限移譲が8項目で小粒なものばかりです。
 今後、北海道など特区が新たな権限移譲を提案できるとしても、それを受ける政府側がどう対応するかです。
 地方側が魅力的な権限移譲のメニューをつくり、広く国民の理解と支持を得ることができれば、事態は大きく変わってきます。


6月27日 (火)  89号

 6月21日(水)から25日(日)まで、4年ぶりに中国・北京を訪問しました。前半は、日本消防協会会長として、日中消防協会の第22回定期協議会に出席し、日中消防の交流、研修などの継続を合意しました。後半は、文化交流として、民間有志の敦煌のデジタル映像センター創立につき中国政府に対応を申入れました。いずれも中国にとって悪い話ではありません。
 その間、唐家旋国務委員、王旭東情報産業部長、武大偉外交部副部長、劉金国公安部副部長、孟暁駟文化部副部長など政府高官と会談し、忌憚(きたん)のない意見交換を行いました。中国の皆さんと会い、中国側の想いは感じましたが、日中の友好提携は、両国の利益にとどまらず、アジアと世界の平和と安定に不可欠なものですから、当面の政治的障害である靖国神社参拝問題はこの際凍結し、各分野の多元的な友好提携を積上げ、信頼回復を図った時点で、もう一度共にふり返ってみる大人の智恵が必要な気がしますが、どうでしょうか。


6月30日 (金)  90号

 この1〜2ヶ月、自民党を大議論に巻き込んだ本年度の骨太方針に関わる歳出歳入一体改革の概要がまとまりました。2011年度に国・地方のプライマリーバランスを黒字化するために要する調整額を16兆5千億円とはじき、その内、歳出カットで11兆4千億円から14兆3千億円を捻出し、残りを歳入改革に期待するというものです。私も6月25日、北京から昼過ぎ帰国、約束していた宇都宮市に講演に出かけて帰京、地方六団体代表の要望を聞いた後、中川政調会長らと夜更けに協議、26日も断続的に交渉を続け、午後ようやく合意し、27日午前にすべての党内手続が終了しました。
 私の主張は、今回の歳出歳入一体改革は、5年後のことでもあり、ギリギリと予算査定のようなことをすべきではなく、大きな方針を立てて、選択肢を提示、弾力条項も入れ、ローリングをしながら目標を達成したらどうかということと、元気のない地方に活力を与えるために、公共事業と地方財政は削減目標を下げ、幅をもたせて実態に即するなど格別の配慮を払うべきだということで、それは、おおむね採り入れられました。地方の皆さんにもこれでご納得頂き、一応の務めを果たしてヤレヤレです。


2006/6
SuMoTuWeThFrSa
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 

前月     翌月