Diary 2006. 7
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7月4日 (火)  91号

 7月1日午後2時前、橋本龍太郎元首相が東京の国立国際医療センターで逝去されました。病名は腸管虚血で享年68歳、今の超高齢化社会のなかで、このお歳は、いかにも若過ぎます。橋本先生は、政界引退後も国際的に外交、環境などでご活躍中であり、まことに惜しみても余りある死去です。
 私とは、同郷・同世代ということもあり、若い役人時代から、私は格別のお世話になって来ました。橋本先生も頑固で私も負けず、ケンケンガクガクの行革論議をしたことを懐かしく思い出します。参議院議員選挙に出ることを強く薦められた一人が橋本先生であり、平成元年、自民党大逆風の選挙で先頭に立ってご支援を頂き、全国でも稀な複数区のトップ当選をすることができました。以降、同じグループに属し、公私にご指導ご鞭撻を受けて、ほぼ行動をともにし、今日どうにか国会議員として一人前近くなったのも、橋本先生のおかげと感謝しております。
 橋本先生は、表面は個性の強いハイテンションの人のイメージですが、本当は結構情のある、優しい人でした。橋本先生は、歴代総理の中でも屈指の政策通、仕事師としてわが国の政治史に大きな足跡を残されました。改めて橋本先生の偉大なご功績に敬意を表し、心からご冥福をお祈り致します。


7月7日 (金)  92号

 7月5日、北朝鮮は、未明から朝までに6発のミサイルを発射したのに続き、夕方にも7発目を発射しました。いずれも、日本の国土から500〜700キロ離れた日本海に落下したとみられ、被害は今のところ確認されておりません。発射準備の動きは5月から判り、関係国は北朝鮮に発射の自制を求めて来ました。私自身も北京訪問の際、6者会合の議長である中国政府の武大偉外交部副部長に、「貴方がしっかり話して止めて欲しい」と要請し、武氏も「努力します」と答えています。今回の行為で、これまで北朝鮮との融和策を探って来た、中国、韓国のメンツをつぶし、国際社会全体を敵に回す、まさに合理的理由なき暴発です。アメリカを直接交渉の場に引出したいからという見方もありますが、アメリカが受入るわけはありません。
 日本政府は直ちに、万景峰号の入港6か月禁止や、人的交流の抑止などの経済制裁に踏切り、与党もそれを支持しました。今後、国連安保理での非難決議や制裁の論議が進む見込ですが、北朝鮮を窮地に追込むだけの今回の行為について、北朝鮮は何を考えて行ったのか、全く理解に苦しみます。


7月11日 (火)  93号

 7月8日、日帰りで富山市に行って来ました。富山県が出火率全国最小を平成3年から平成17年まで15年間連続で達成したこと、それをお祝いするため、消防関係者が1200名集まり、富山県防火推進大会を開催するので、日本消防協会長として出席して欲しいという要請を受けたからです。式典は知事挨拶、私や消防庁長官の祝辞の他、各種表彰や決議表明などもあり、盛大かつ厳粛に行われました。
 大会の第2部は、劇団「ふるさとキャラバン」の「地震、カミナリ、火事、オヤジ」というミュージカル風の演劇の観賞でした。正直言って、大して期待せずに1列目の中央座席に着き、2時間半もの時間は長過ぎると言いながら見ましたが、見だすと結構面白くて、話の展開に次第に引込まれて行きました。3千人に取材してできたシナリオらしく、説得力もありましたし、出演者も芸達者が多く、消防団の役割、団員相互の絆、女性消防団員、熟年結婚、自然保護など、多くのテーマを問いかけ、私も色々考えさせられました。劇団運営は大変だと聞きましたので、皆さんにも広く観賞して頂き、応援されるようお願い致します。


7月14日 (金)  94号

 7月13日、地元の山陽新聞社新本社ビルの落成式に出席、祝辞を述べました。
 このビルは、山陽新聞グループの新しい情報発信拠点となるもので、「メディアミックスの推進」「地域に開かれた新聞社」をコンセプトに、20階建て高層棟と6階建て低層棟が中庭の「さん太広場」を囲んで建ち、昔の眺めと様変わる見事な風景となりました。
 私は、かつて岡山県の副知事や部長を務め、この17年間は参議院議員ですが、いずれのときも何かをやろうとする際、県民はどう思い、世論はどう動くかを常に意識してきました。
 それは結局、地元のメディア、とくに山陽新聞の意向や評価を考えて行うというというビヘイビア(behavior)となりました。
 今やIT化の進展による民意把握の徹底と影響力の拡大は、マスメディアを「第4の権力」でなく「第1の権力」に押し上げました。
 権力には当然大きな責任が伴います。民主政治と地方自治の発展には健全なマスメディアの存在は欠かせません、それは同時にマスメディアがそうすることに十分な責任を共有していることを意味します。
 新しい革袋には新しい酒を、地方紙の雄である山陽新聞グループの今後のご精進、ご奮闘を心から期待します。


7月18日 (火)  95号

 7月7日、閣議決定された本年度の「骨太方針」に、「地方分権に向けて、関係法令の一括した見直し等により、国と地方の役割分担の見直しを進める」ことが書込まれました。
 このことについて、私に、竹中総務大臣と中川政調会長から、それぞれどうだろうかという相談があり、私は入れた方がよいと答えました。
 7月12日、松江市で開かれた全国知事会議で、各府県知事から、新法制定に向け取組みを急ぐべきだとの声が相次ぎ、その実現のため、全国知事会を含む地方六団体で内容を検討し、政府に提言することを決めたと報道されています。
 私は、新地方分権一括法の制定には基本的に賛成です。
 今後の地方分権の道筋を明らかにしながら、三位一体改革(地方税財政改革)の第2期目を具体化して行くためには、第1期改革の悪戦苦闘ぶりからしても、新しい展開には、何らかのよりどころが必要だと思います。
 とくに、第2期の国からの税源移譲には、地方消費税の強化が避けて通れません。
そのために消費税が主として充てられる社会保障分野での、国・地方の役割分担をもう一度しっかり見直す必要があると考えます。


7月21日 (金)  96号

 北朝鮮のミサイル発射に絡んで、額賀防衛庁長官は、「敵国が確実に日本を狙って攻撃的な手段を持っている場合国民を守るために最低の装備を持たなければならない」と述べ、敵基地攻撃能力の保持を検討すべきだとの問題を提起し、大きな話題となりました。
 これは古くからある議論で急迫不正の侵害がおこなわれた場合の敵基地攻撃について、昭和31年に鳩山内閣は、「座して自滅を待つべしと言うのが憲法の趣旨とするところだとは考えられない」との統一見解を示しています。
 法理的には自衛権の範囲内に含まれ攻撃することは可能です。
 しかし、日本は今まで憲法を尊重し、こうした能力を保持して来ませんでしたし、また、持つとすればコストとリスクなどそう簡単にはいきません。
 さらに米が「矛」、日が「盾」という役割分担の日米安保体制をどう考えるかという問題も出てきます。
 だからと言って国家として大きな政治判断が必要なこの問題を封印せず、この機会にしっかり議論することは、私は大きな意味があると考えます。


7月25日 (火)  97号

 北海道夕張市が地方自治体の倒産にあたる「財政再建団体」への申請を決め、財政悪化と累積債務に悩む全国の地方自治体に「夕張ショック」を与えました。
 相次ぐ炭鉱閉山の中で、夕張市は、観光中心に積極投資を繰り返し、その額は総計140億円と言われ、その8割が地方債でした。
 しかし、バブル崩壊後は観光客も減り、借金が過大な負担として残り、資金繰りに悩んだ市は民間金融機関からの一時借入と、その借換えで乗切ろうとし、この3月末までにその額が290億円を越えたとのことです。こういう自転車操業では金利先高観もあり、どうにもなりません、ついに申請に踏切ったわけです。
 不適切な投資による膨大な借金、会計操作による赤字隠しなどは一夕張市だけの問題ではありません。地方財政全体の悪化の中で、程度の差こそあれ、全国で似たような状況にある地方自治体は、いくつかあると思われます。
 政府は、第三者機関による財政監視の仕組みをつくり、事前警告制の導入を検討中のようですが、第二、第三の夕張市を出さないためにも、早急に法制化に踏切るべきだと考えます。


7月28日 (金)  98号

 少子化の厳しい流れのなかで、産婦人科医の減少が改めて問題となっています。今や妊婦がお産のできる施設を探してさまよう「お産難民」という言葉まであります。産婦人科医の高齢化も顕著で、医師や施設の減少の方が少子化のペースよりも速いのではないかと指摘されていますし、医師の有効利用や、施設の集約化・高度化が進む反面、地元に産婦人科医がいない地域が増加しています。医師の総数はこの10年間で約3.5万人増えて25万人を超えましたが、産婦人科医は900人近く減り、約1万人となっています。この内、60歳以上が4分の1を占め、一方、30歳未満の産婦人科医の6割以上が女性です。減少の原因は、厳しい職場環境と医療事故に絡む訴訟の増加で、産科離れが進み、それにより現場の医師の負担がさらに増えるという悪循環にあります。
 お産の安全のため、施設の集約化は当面必須だとは思いますが、併せて、助産婦の活用や医師の地域勤務を義務付けるなど、妊婦が安心して産める環境づくりが急がれる必要があります。


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