Diary 2007. 3
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3月2日 (金)  160号

 先だって、私は知人の勧めで家内と二人、久し振りに映画を鑑賞しました。全く事前の知識なく、見た映画の題名は、「不都合な真実」。この無粋な名前が逆に映画の中味に合っています。米国のアル・ゴア前副大統領が地球温暖化防止への取組を訴えるドキュメンタリー映画で、映像が要領よく、ゴア氏の想いがよく判り、説得力がありました。この映画がアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞と主題歌賞を受賞、ビックリしましたが、日本語版の本もよく売れているようです。
 これからのポイントは、京都議定書の第一約束期間以降、つまり2013年以降の地球温暖化の次期枠組みをどうするかにあり、最大の排出国である米国は京都議定書を批准せず、経済発展の著しい中国、インドなどの途上国は削減義務なく、削減義務を負うのは、主として日本とEUで排出量は世界全体の30%、これらの国が京都議定書を遵守しても削減量は1990年の総排出量の2%にしか過ぎません。早急に米国、中国、インドなどを巻込んで、地球全体でCO2排出量を削減する仕組みが必要です。来年は、わが国がG8サミットの議長国ですので、この問題で強力なリーダーシップが発揮できれば日本の評価は大いに上がると思われます。


3月6日 (火)  161号

 2月の六者会合による合意に基づき、3月7〜8日にベトナム・ハノイで日朝作業部会の初会合が開かれます。なお、6日には事前の非公式折衝が行われます。
ただ、北朝鮮の拉致問題に対する姿勢は固く、被害者の再調査による真相究明、生存者の帰国や、特定失踪者の調査を求めるわが国との協議は難航すると予想されています。
 今回の合意については、初期段階の措置で寧辺(ニョンビョン)の核施設の活動停止・封印をし、プルトニウムが増えることに歯止めをかけたし、2段階支援で検証できるうえに、1994年の465万トンに比べ合計100万トンのエネルギー支援は安上がりだという意見がありますが、果たして北朝鮮の態度は本当に変わったのか、ダマされていないのかという疑問は残ります。
 わが国には拉致問題があり、初期のエネルギー支援はしないし、次期についても拉致問題の進展が見られるまで参加しないことを、各国の理解は得て、表明しています。日本外交孤立化論がありますが、私はここは「拉致問題の進展なくして支援も国交正常化もなし」を貫くことが必要だと考えます。


3月9日 (金)  162号

 3月5日(月)、6日(火)と2日間、参議院予算委員会でTV中継のなか、基本的質疑(昔流に言えば代表質問)を行いました。この質疑には各党とも幹事長クラスが登板するのが恒例になりつつあります。また、昨年に続き今回も質疑時間は往復(質問と答弁の時間を一緒にカウントすること)の試行で、片道(質問の時間のみをカウントすること)方式よりは時間の見当がつけ易いのは確かです。
 私は始めに安倍総理の政治姿勢を採上げ、総理に就任して5ヶ月以上経った感想、官房長官、副長官時代に思った総理像との比較、「美しい国・日本」のイメージは何かを聞き、次に支持率について、マスメディアは支持率が大好きだが、支持率のために政治はあるのではないし、支持率の上下によって政治が左右されてはならない、マスメディアの安倍包囲網の中で、官邸が支持率ダウンにふり廻され、包囲網にややひきずられて来た感があると指摘、これからは支持率に一喜一憂することなく、断固として安倍カラーの所信を貫けば支持率はついてくる、「去年(こぞ)、今年、貫く棒のごときもの」という高浜虚子の句を捧げました。
5日の質疑後の役員会で、安倍総理に「私は大変元気づけられました、有難うございました。」とお礼を言われ、面目を施したところです。


3月13日 (火)  163号

 限界集落とよばれる地域が全国に増えています。限界集落とは、長野大学の大野晃教授が提唱したもので、住民の半数以上が65歳以上の高齢者となり、冠婚葬祭や田役・道役などの社会的共同生活の維持が困難となっている集落で、いずれ無住化し、消滅してしまう限界的な状況から名付けられています。全国の過疎市町村の政府調査では、調査対象の一割を超える7873集落が該当し、うち10年以内に消滅ないし消滅が近い集落が2641としています。消滅すれば跡地は荒廃し、ガケ崩れや土砂災害、風倒木被害が出るうえに、病害虫の発生、廃棄物の不法投棄などの温床になります。これでは決して美しい国にはなりません。
 限界集落をどうするか、創意工夫によって存続を図ることが第一です。それには集落を出た人をもう一度呼び戻したり、団塊世代などの都市住民の移住を誘導、移住しないまでもセカンドハウスとしての活用を進め、一方、都市部との幅広い交流のベースキャンプにでもできれば新しい展望が開けます。しかし、それがムリなところは集落再編ですが、その場合には近くの拠点集落にできるだけ全戸移転を図りながら、残った農地は集約したり、跡地は林地に戻す、水の保全にも配慮するなど十分な国土保全と環境保護に努める必要があります。


3月18日 (日)  164号

 公務員制度改革の中で、いわゆる天下り問題の処理が永田町、霞ヶ関で大議論となっています。もともとは内閣府へ人事院の権限を移すなど天下り情報を一元化しチェックをして行く構想でしたが、職員及び職員OBに対する求職活動や再就職後の働きかけに対する厳格な行為規制を導入することとなり、さらに、各省庁人事当局によるあっせんを最終的には全面禁止し、政府全体で新人材バンクを創設して一元的にあっせんする案(移行期間は外部監視機関が省庁あっせんを個別に審査承認する)が出て、百家争鳴となりました。
 なるほど、予算や権限を背景とした押し付け的あっせんは良くありませんが、現状は受け入れ側の意向が強く相当それは減っていますし、能力、経験、知識などを買われてのスカウト型のあっせんは人材活用の面からも決して悪くありません。新人材バンク的なものの創設は私も反対ではないけれども、直ぐワークするかどうか、送り出す人間についても受け入れ先についても十分な情報と人的ネットワークを持つ各省庁の人事当局を噛ませて、なだらかに、新組織を育成しつつ、主導権を移行させて行くことが現実的なやり方だと考えますが、どうでしょうか。


3月20日 (火)  165号

 「政治とカネ」は、常に古くて新しい問題です。この国会も、事務所費の扱いから、松岡農水相の光熱水費問題、民主党・中井議員の光熱水費訂正へと拡がり、一方、私も参議院予算委員会で採り上げた小沢一郎議員の不動産の取得・保有も大きな話題です。いずれもご当人は、現行法の枠内で、適切に処理しているとの主張です
が、問題は形式的な適法性でなく、政治資金のあり方や政治倫理からみて、許されるのかどうかという点でしょう。
 とくに小沢氏の政治資金管理団体である陸山会の不動産保有は目に余ります。
本来の事務所(こちらは賃貸)の他に12件に及び、東京都赤坂に6カ所、麹町、南青山と合わせて8カ所のマンションを持ち、2カ所は賃貸し、盛岡市、仙台市にもマンション、岩手県水沢、東京都世田谷区には土地建物を持ち、取得価格10億1020万円、時価15〜16億円と言われております。しかも、その取得資金は、陸山会がおおむねその都度金融機関と小沢氏個人から借入、それを政治献金(政党助成金なども含む)で利子付の返済をするという方式です。小沢氏から一応の説明はありましたが、何のために取得し、何に現在使われており、それが法の禁ずる政治資金の運用でないことなどの明確な説明責任が果たされる必要があります。


3月23日 (金)  166号

 政府は、平成18年のフリーター人口(15歳〜34歳)は187万人で平成14年の集計開始以来初めて200万人を切ったと発表、雇用の安定化が進んでいると自画自賛しています。しかし、フリーター統計に入らない35〜44歳のパート、アルバイト(既婚女性は除く)は平成18年で前年比2万人増の32万人の最多となり、「高齢フリーター」は増加傾向です。派遣なども含めた非正規社員の比率も、25〜34歳が25.2%(0.9%増)、35歳〜44歳も27.4%(0.8%増)で、大学卒業時に「就職氷河期」にぶつかった世代の雇用改善は進んでいません。
 政府は「成長力底上げ戦略」の柱に就職支援の拡充を揚げていますが、新卒採用がバブル並みの売手市場になる一方、中小企業には訓練機会が少なく、氷河期世代は基礎的な職業能力に乏しいまま非正規社員として滞留する可能性の強いことが指摘されています。この事態を打開するには、政府はすべての世代に亘って訓練や技能検定をさらに拡充・強化するとともに、企業も中途採用者について今以上に弾力的な対応をする必要があると考えます。


3月27日 (火)  167号

 安倍総理は、菅総務大臣とともに、3月24日(土)午後、2月から始めている地方視察の一環として、岡山市を訪問され、私も地元議員の一人として総理を迎え、視察に同行しました。
 今回は岡山市が提唱している「安心、安全のまちづくり」について、ボランティア活動の状況を見聞するという目的で、まず、高谷岡山市長、武市青年館常務理事、小池ガーディアンズ代表らと懇談、その後、小雨をものともせず、県青年団協議会メンバーと一緒に
市内のビルの落書き消しを行い、駅地下街では、若い女性を中心に総理見たさに集まったものすごい人出の中、防犯ボランティアグループ「岡山ガーディアンズ」の見回り活動に参加、大歓迎を受ける総理の大変な人気に驚いた次第です。
 私は、話は聞いていたものの、これらのボランティア活動を実際に見て、大いに感じるところがありました。地域の有志が自らの知恵と活動で、市も県も巻込んで地域の安心、安全を自ら守るということは、正に地方自治の原点であり、私の持論の「奉私奉公」の良き実験例と考えます。


3月30日 (金)  第168号

 人事院は、3月28日(水)、平成18年に国家公務員の民間企業への再就職状況をまとめた年次報告(天下り白書)を国会と内閣へ提出しました。私には、前日、人事院事務総長から説明がありました。それによると、昨年1年間に在籍した省庁と密接に関係のある企業へ人事院の承認を得て再就職した課長級以上の職員は、70件69人で、前年より4件5人増え、承認時の平均年齢は56.6歳でした。そして、再就職が「省庁のあっせんや仲介」によるもの31件とトップで、他は「自発的な就職活動、知人の紹介」が19件、企業が日本経団連を通じて人事院に要請する「人材採用システム」によるもの15件などです。課長補佐級以下で各省庁が承認する再就職は611件で、前年より37件の減です。再就職のあっせんが省庁による勧奨退職の一環として、人事の延長線上で行われていることが判りますが、これを新人材バンクで省庁から完全に切り離すとき、果たして職員が退職に応ずるかどうかが問題です。
 なお、同時に提出された官民の人事交流に関する報告書によると、国から民間への派遣は16人、民間から国の機関への採用は72人で、いずれも過去最多でした。こちらはもっと活発化する環境整備が必要です。


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