Diary 2008. 3
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3月4日 (火)  249号

情報通信法構想について

 私が主催する月1回の勉強会、情報通信懇話会が、関係者のご協力で順調に推移していることを嬉しく思っております。毎回、膨大な、新しく、難しい、情報・知識を頂き、それを消化するのに私はアップアップです。先だって、懇話会にとっても最大の課題の一つである通信・放送関係法令の統合が政府部内で動き出したと報ぜられました。昨年12月6日に総務省の研究会が出した最終報告書の中に、情報通信法構想が盛込まれたことによります。放送と通信の融合・連携が言われて久しく、両者の垣根が低くなって、かなり似たものが併存・競合している現状からすれば、それに対処する法体系の整備は必須の流れです。

 報告書は、放送や通信、インターネットなどネットワークを流れる情報・番組のうち「公然性を有するもの」の社会的な影響力に応じて「特別メディアサービス」「一般メディアサービス」と「オープンメディアコンテンツ」(違法な情報や有害な情報は区分する)に分類し、国が関与できる基準を段階的に設けようとしています。

 また、これまでの放送免許等についても、今まで電波法的考え方でなく、「コンテンツ」「伝送インフラ」「プラットホーム」の3区分の審査で対処すべきという考えです。さらに、新聞や雑誌など紙媒体も電子化されると、この法律による規制の対象となります。すでに、規制強化が狙いで表現の自由の制約になるなどの意見が出ていますが、現体系のままでよいわけではなく、時間がかかっても、将来を見据えて、あらゆる角度からの議論を集約して、結論を出すことが必要です。


3月7日 (金)  250号

自治体消防制度60周年記念式典

 3月7日(金)10時半から日本武道館において自治体消防制度60周年記念式典が、天皇、皇后両陛下ご臨席のもとに、全国より8500人の消防関係者を集めて、盛大かつ厳粛に行われました。天皇陛下のおことば、内閣総理大臣始め三権の長の祝辞、各種の表彰、幼年消防クラブの特別演技などあり、私は日本消防協会長及び日本防火協会長として、それぞれ表彰を行い、この式典に大臣や議員の時とはまた違う感慨を持ちました。午後1時からは全国消防職員・消防団員の意見発表会が同じ場所で4200人出席して開かれ、中堅、若手の力強い意見表明で盛り上がりました。

 この60年間、わが国の消防制度は完全に日本の地域社会に溶け込み、しっかり定着し、しかも関係者の努力と国民の協力で充実を続け、私のいう「日本消防は世界一」という段階に達しつつあります。わが国の消防は常備と消防団の2本立て、16万人の常備消防は、人的にも物的にも高度に整備されて、国際的にも最高レベルにありますし、90万人の消防団も地域的に大きなまとまりと力を持ち、両者の連携もスムーズなことが世界一の理由です。この消防が60年、人間で言えば還暦を迎えました。となれば、わが国消防の良き点は残しながら、新しい発展への取組みとして、まず消防団員の減少傾向への歯止めと増強、常備消防の実態に即した広域化・効率化、民間企業の自衛消防力の向上と消防ネットワークへ組込み等が検討されるべきでしょう。


3月12日 (水)  251号

最高裁、住基ネットを合憲に

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の違憲性が争われた訴訟で最高裁は3月6日(木)、住基ネットを合憲と判断し、一連の訴訟はこれですべて終結、確定しました。

 住基ネットは各市町村が個別管理していた住民基本台帳をネットワークし、全国の自治体や行政機関が相互利用できるようにした仕組みですが、私は住基ネット法が国会で成立したときの参議院自民党国対委員長、住基ネットが始動したときの総務大臣で、平成14年8月の始動の際、何度も反対論者とTV、新聞で賑やかに論争したことを懐かしく思い出しています。

 最高裁判決は、住基ネットに記載される氏名や住所などの基本情報は個人の内面にかかる秘匿性の高い情報でないため「個人の同意なく記載しても憲法違反とはいえない」と指摘し、住基ネットの情報漏洩や目的外使用については、法律で刑罰や懲戒処分の対象とするなど厳しく禁じているため「具体的な危険は生じていない」として、合憲と判断しています。メディアは最高裁判決に好意的でなく、批判的な論調にやや片寄っていますが、私は最高裁の判断はかつて私が主張したこととほぼ同じで、極めて妥当なものと考えます。

 一時期、住民の選択制としていた横浜市もすでに住基ネットに全面参入し、不参入は現在、3自治体のみですが、理由なき不参入は住民の利便を大きく害していることに気が付いて欲しいと思います。


3月13日 (木)  252号

国会同意人事について

 日銀総裁・福総裁人事の国会同意をめぐって、衆議院は政府が提示した3人は全員同意、参議院は武藤総裁、伊藤副総裁は不同意、白川副総裁のみは同意という異なる決定となりました。人事案件の同意は衆・参ともにクリアされなければなりませんので、3月19日が任期とゆとりがない中、与野党協議が開かれるのか、政府は不同意の2人を再提示するのか、それとも差し換えるのか、一事不再理の原則はどうなるのか、マスメディアは賑やかに報じています。

 私はもともと、日本のような大国はその意思決定は一院だけでなく、良識をもって再考してみる二院制の方がベストだと思って来ました。したがって、自民党の憲法改正草案をまとめる際にも、そのことを強く主張し、認められました。しかし、今回のように衆・参がねじれた場合、国会としての意思決定がスムーズに行かない事態が起こります。そこで、憲法は首班指名や予算、条約には衆議院の優越を認め、法案については3分の2による衆議院の再議決(60日ルールを含む)という方式を導入しています。人事案件の国会同意は、各個別法に規定がありますので、一院がノーなら仕方がないという発想ならともかく、そうでないなら何らかの対応が必要ですが、それがありません。これは各個別法の不備だと思いますが、どうでしょうか。


3月18日 (火)  253号

政令市3周年の静岡にて

 3月17日(月)午後、静岡市で開かれたSSシティ構想推進協議会総会において、「政令市静岡への期待―がんばれ静岡」というテーマ(これは先方の希望)で講演しました。

 静岡市と清水市が合併したのが平成15年4月1日、政令市に昇格したのが平成17年4月1日ですから、5周年と3周年になります。私事に亘りますが、私は昭和57年4月から2年間、静岡県総務部長を勤め、それ以来多くの方々と知己となり、その豊かな自然や産物にも親しませて頂きました。私自身は「第二のふるさと」と思っています。

 そのうえに、静岡市と清水市の合併が大詰めを迎えた平成14年2月、総務大臣であった私は、清水市で開かれた市民大集会に招かれ、そこで「静岡市と清水市が合併によって政令市を希望し、県も異議がないのならば、人口70万人であっても政令市に指定する」と明言しました。この発言によって流れが変わり、合併へ大きく動き出したことは事実です。

 70万人で政令市となった静岡市は、全国に強いインパクトを与え、その後、堺市、新潟市、浜松市が政令市となり、現在、岡山市、熊本市がそれに続こうとしています。

 私は、政令市静岡への期待として、

@東京と名古屋との間のしっかりとした拠点となり、浜松と競争しながら、県全体を引き上げること、

A都市機能と豊かな自然が共生する新しいタイプの都市をめざすこと、

Bコミュニティ、民間団体、NPO、企業等が協働する「奉私奉公型」の地方自治のモデルとなること、

C歴史遺産を生かしつつ、文化とスポーツの興隆を地域の特色とすることを、申し上げた次第です。


3月21日 (金)  254号

国会慣行の見直しを

 私は、毎週金曜日午前6時から、ニッポン放送の「お早うGood Day」のコメンテーターを勤めていますが、本3月21日には、パーソナリティの上柳アナから、ガソリン税の暫定税率維持のための租税特別措置法法案が参議院に送られて3週間経つのに審議入りしていないことを採上げた新聞のコラムについて、コメントを求められました。

 国会には、衆参とも国会運営の長い積み重ねのなかから色んな慣行、申し合わせが出来、それがルール化しています。

例えば、定例日(常任委員会は火曜日、木曜日とし、予備日は金曜日)とか、定刻(普通は午前10時)、また、所管閣僚の所信表明を聞き、それの質疑を行わなければ法案審議に入らない(これを「店開き」と言う)等です。

 定例日が週2日など、私は、国会はまるで「週労2日制」だと皮肉っています。通常の場合はともかく、必要があるときは、今が正にそうですが、委員会ごとに話し合い、審議日や審議時間を変えることは、全く自由だし、また、そうしなければ、国会が機能しないことになります。いわんや、政局にするため、慣行をタテにとって実質的な審議引延ばしを図ることは許されません。

 国民注視の暫定税率を含む道路特定財源問題については、早急に所管の委員会でオープンな審議をつくすこと、修正話は与野党政策責任者で真摯に協議を開始することが国民に対する義務だと考えます。


3月25日 (火)  255号

参議院のあり方について

 年度末が近づき、日銀総裁人事、年金記録処理、医療改革、イージス艦衝突など問題山積の政局に、ガソリン税等の暫定税率維持にかかる税制関連法案の扱いという難問が加わり、与野党の攻防も一段と激化、国会は急速に緊迫化して来ました。「瓢箪から駒」の噂も現実味を増しています。

 参議院では、遅れつつも来年度予算案の審議はどうにかされているものの、予算関連の税制関連法案は、衆議院から送付されて昨日まで(25日間)、審議入りができないという異常な状態が続き、現時点ではこの成立はまず難しく、暫定税率はなくなり、4月から官民ともに大混乱が予想されます。

 私は、長い間、参議院に籍を置き、また、自民党の国対委員長を2年4ヶ月、幹事長を3年経験した者として、現状はまことに残念です。昨年の参議院選挙の結果、与党は過半数を大きく割り込んだうえ、自民党は第二党となり、参議院運営の主導権は完全に野党が握り、馴れないこともあってややノンルール風になっていますが、私は第一党の民主党にもう少し度量とゆとりが欲しいし、与党にもなお努力の余地があると考えます。

 「良識の府」、「再考の府」であるべき参議院が、「政局の府」、「政争の府」になることは与野党とも避けなければならない基本でしょう。


3月28日 (金)  256号

福田総理の新提案は

 3月27日(日)午後4時から、福田総理は首相官邸で緊急の記者会見を開き、平成21年度から道路特定財源を廃止し、一般財源化することを表明、その他にも、

@10年間59兆円の道路整備中期計画を5年間に短縮し新たに策定、

A今年末の税制抜本改正時に暫定税率のあり方を検討、

B道路関連公益法人への天下り排除や随意契約見直し

を挙げ、さらに、一般財源の使途や道路整備のあり方を検討する与野党協議会の設置を呼びかけました。「決意」という言葉を何度も使い、「私は最後まであきらめない」と語り、税制関連法案の年度内成立ができなくても、この新提案は実現させると明言、悲愴感さえ漂わせていました。

 総理の新提案は、今迄の政府・与党の考えからすれば相当踏込んだものであることは確かですが、民主党など野党はこれを拒否する姿勢ですし、与党、とくに自民党では党内手続きを経ておらず、簡単に飲み込むかどうか予断を許しません。

 福田総理は、今回、これまでの福田イメージを変えるトップダウン手法をとり、記者会見で国民に直かに訴える新スタイルを打出したわけで、私個人は仲々考えたなと感じましたし、新提案の中味も結構、国民世論を見てのものですが、暫定税率維持を含めて一般財源化するとすれば、税制全
般との整合性をとりながら、道路の受益ということで特別の負担を課して来た納税者の同意をとることが必須の要件だと考えます。


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