Diary 2008. 4
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4月1日 (火)  257号

暫定税率、期限切れへ

 ユウウツな新年度です。今国会最大の焦点だったガソリン税の暫定税率維持の租特法改正案などが参議院で審議入りをしないまま、4月1日を迎え、暫定税率は昭和49年導入以来始めて失効し、ガソリンは1リットル当たり25.1円、軽油は17.1円の上乗せ分が順次値下げとなります。

これを受け、福田総理は31日夕方、首相官邸で記者会見し、混乱を生じさせたことを陳謝する一方、4月下旬以降に租特法改正案など関連法案を60日ルールを使って衆議院で再可決し、税率を元に戻す方針を事実上表明しました。

かりに、再可決としても、それまでの参議院での法案審議と道路特定財源にかかる与野党協議が注目されますが、民主党は本年度からの暫定税率撤廃を譲らず、合意は困難な見通しです。福田総理がトップダウンで決めた一般財源化について、公明党は賛成、自民党内には表立った反対はないものの、賛成と騒いでいるのは一部の若手議員で、多数の議員は様子見と伝えられています。

 ところで、再可決すれば、民主党は参議院に総理の問責決議案を出すと言っていますが、そうすれば簡単に可決されます。しかし、総理はこれを無視する可能性が強く、野党はそれに対抗して全面的に審議拒否、国会は完全に空転し、先の読めない展開になります。そういうなかで国民世論がマスメディアの動向を見ながら、どういう判断をするかがカギとなるでしょう。


4月4日 (金)  258号

道路関連法案の再可決

 政府・与党は4月3日、道路関連法案の取扱いについて、ガソリン税などの暫定税率の復活を最優先する方針を固め、まず、暫定税率を維持する租税特別措置法改正案など税制関連法案を4月末に衆院で再可決、道路特定財源制度を定めた道路整備費財源特例法改正案は5月中旬以降に再可決し、いずれも成立を図る方向だと報ぜられました。

 両改正案の再可決時期が異なるのは、衆院の通過時期が異なり、60日ルールで再可決が可能となるのは、税制関連法案が4月29日、財源特例法改正案が5月12日だからです。3日に開かれた定例の自民党各派総会では、党国対から要請もあったようで、ほぼ一斉に再可決支持が打ち出されました。

 問題は、福田総理の新提案の一般財源化を平成21年度から実現するとすれば、それを想定していない今の特例法改正案との間をどう調整するのかという点です。自民・公明の中堅、若手議員による一般財源化を実現する会が初会合を開き、今の案なら一部の造反も囁かれる一方、道路特定財源の堅持を求める都道府県議の会が活動を始めるなど複雑な動きとなっています。

 いずれにせよ福田総理の新提案について、政府・与党が一致したスタンスで、早急にコンセンサスの形式を図ることが求められています。


4月8日 (火)  259号

わが国経済と政府の役割

 揉めに揉めた日銀総裁人事が、白川副総裁の昇格という、無難な形で納まりそうで、11日開催のG7に総裁が出席でき、関係者はホッとしております。

 もう1人の副総裁人事は、現時点では不明です。
 この一連の人事、日銀法の不備は不備として、双方にもう少しやり方があったのではないかと思いますが。

 さて、景気については、政府が公式に踊り場にさしかかっているという認識を示す一方、消費者物価の上昇などこれまでのデフレ下の景気拡大とは全く逆のインフレ下の景気低迷という局面に入ったと指摘されています。

 しかし、インフレというにはいささかオーバーで、2月の消費者物価が約10年ぶりに前年比1%upとなっただけ、食料とエネルギーを除いた消費者物価は全く落着いていますが、輸入インフレが国民生活を圧迫し始めたことも事実です。

 幸いなことに、ドル安の反動もあって円高が続いており、円高は輸入インフレを確かに抑制するわけで、トータルでは円高はプラスの効果が大きく、輸出絡みで、円高悲観論が先行している現状はバランスを欠いています。

 それにしても、こういう中でわが国政府の発信力の弱さは問題です、「状況を冷静に見守る」、「今後の動向は米国次第」など、政府も閣僚も皆、無責任な評論家のごとくで、政府として今何ができるか、何をなすべきか、わが国経済のビジョンを示しながら、しっかりした見通しとしかるべき対策を力強く発信することこそが政府の大きな役割だと考えます。


4月11日 (金)  260号

党首討論・盛上がる

 福田総理と小沢民主党代表による今国会初の党首討論が4月9日(水)に行われ、珍しくハイテンションの論戦となりました。

 福田総理が就任以来の「低姿勢・対話」路線をかなぐり捨て、日銀人事などで逆質問を繰り出し、民主党の対応を批判、小沢代表もこれにかたくなに反論、ヤジも賑やかで、前回とは一転、きわめて対決的な党首討論となりました。

 これについては様々な評価ですが、私は野党側の質問に総理が淡々と答える従来のスタイルよりは本音をぶつけ合う今回の方がはるかに良かったし、国民の関心、メディアの反応も高かったと思います。

 さて、この党首討論を受けて、政府・与党は道路特定財源の一般財源化について合意案を決定し、与野党協議に臨む考えのようです。ただし、閣議決定や正規の党内手続は、与野党合意の後との話です。合意案は福田総理の3月27日の提案を肉付けしたもので、新たに「必要と判断される道路は着実に整備する」が加わり、「地方財政に悪影響を及ぼさないように措置する」も暫定税率失効中の地方自治体への減収対策を含めて盛込まれています。

 いずれも自民党内の異論や地方自治体の懸念に配慮したものですが、この合意案に対し、野党がどのような対応をするかが、次の焦点です。


4月16日 (水)  261号

衆院山口補選・始まる

衆議院山口二区の補欠選挙が4月15日(火)、告示されました。自民党対民主党の一騎打ちですが、私は党からの話もあり、候補者とも懇意なので、14日(月)に岩国市に出かけ、私なりの活動をして来ました。岩国市のホテルで、12時半から消防や危険物安全関係の方々、13時から情報・通信・郵政関係の方々、13時半から市町村長、議員や行政書士・司法書士の方々にお集まりを賜わり、候補者、林参議院議員ともどもお会いして、お願いを致しました。

膝を交えてですから、親しみを持って受けとめて頂いたと私は思っています。

 14時から、参議院自民党主催による恒例の各種団体総決起大会にも顔を出しました。出席者は1200名を越える盛況で、尾辻会長の後、私も短い挨拶をし、古賀自民党選対委員長、北側公明党幹事長、山崎参議院幹事長などの熱の入った演説もあり、比例区を中心に参加した参議院議員の1分間スピーチと続き、締めはガンバローコールで、大会は大変な盛上がりとなりました。

 戦況は予断を許さない状況ですが、候補者のこれまでの有能な仕事ぶり、明るく気さくな人柄、郷土を愛する気持ちなどが第二選挙区の有権者の皆さんに次第に理解されつつあるなという私個人の観測を持って帰った次第です。


4月20日 (日)  262号

空自イラク活動、違憲か

 自衛隊イラク派遣差し止めなどを求める集団訴訟の控訴審判決の傍論で、名古屋高裁(青山邦夫裁判長、退官のため高田健一裁判長代読)は、4月17日、航空自衛隊の空輸活動は、「憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」との判断を示したうえに、イラク特措法にも違反するとしました。

 しかし、結論は原告側の差し止めと慰謝料請求の訴えを棄却し、1審と同様に国側の勝訴です。

原告側は上告しない方針ですし、国側も上告できませんので、判決は確定しますが、イラク派遣に対し、始めて違憲とするこの判断は傍論という形で示されたので、ほかの裁判への拘束力はありません。

 この傍論に対する主要紙の論調は大きく是非が分かれていますが、私は判決は違憲確認の請求を「利益を欠き、不適法」と判断しながら、傍論でなぜ違憲の疑義を表明したのか理解に苦しみますし、憲法判断はあくまで最高裁が行うべきであって憲法訴訟のあり方から言っても判決は極めて問題です。

 また、「戦闘地域」や「武力行使と一体化した行動」の判定にも大いに議論があります。
なお、空自の活動が国際平和協力行動として国連安保理でも承認され、国際社会にも大歓迎されていることもしっかりと考慮される必要があり、いち早く空自の活動の継続を表明した政府の方針は正しいと考えます。


4月22日 (火)  263号

古川佐賀県知事を励ます会で

 4月21日(月)、私は午後から佐賀市に日帰りで出かけ、佐賀県知事の古川康さんを励ます会に出席、短い講演をして来ました。

 古川さんの人気を反映して、県下の大勢の人で溢れ、楽しい会でした。私は昔から古川さんに親近感を持っています。旧自治省の後輩で仕事上の付き合いも多く、私の地元の岡山県で財政課長をしたこともありますが、何となく体型が似ているうえに、体育会系出身、ここからは自身に大甘ですが、明るく愛嬌がある人柄と、決断力とスピードがある仕事ぶりが似ていると思っています。

 古川さんは今2期目ですが、5年間、よくやりました。改革でない「県庁改進」を掲げ、一つは大胆な機構改革を行いました。従来の部局を廃して
横割りの本部制とし、予算は本部に包括的に枠配分して後は本部で決めるなどです。能力開発型人材マネジメント、CIOの全国公募、旅費事務の旅行代理店へのアウトソーシング、実績主義でない「トライアル発注」など新しい試みは数多く、地味ですから近くの宮崎県知事ほどメディアは採上
げませんが、知る人ぞ知るですし、全国知事会でも存在感がありました。

「県庁改進」の基本理念は、「オープン」「現場主義」「県民協働」という3本柱ですから、それで是非、佐賀県を地方自治のモデルとするよう古川さんを激励して帰って来ました。


4月25日 (金)  264号

後期高齢者医療制度について

 後期高齢者(長寿)医療制度の施行をめぐり、「姥捨て山」批判が拡大し、保険料の天引きミスがすでに4万人2億円も出ていると報じられるなど、27日投票の衆院山口補選の結果にも大きな影響が出るのでないかと懸念されています。

 従来の制度では、75歳以上の人は国保、被用者保険に加入して、それぞれに保険料を払いつつ、老人保健制度にも加入し、給付を受ける仕組みで、市町村は国保、被用者保険からの拠出金と公費を財源として、老人保健制度を運営して来ました。問題は、現役世代の負担が不明確で重いこと、弱小市町村では運営ができなくなったこと、加入者の保険料負担が不公平であること等があり、今回の制度となったわけです。

この制度の基本を決めた閣議決定から5年、関連法成立から約2年、保険料負担の当面の軽減を決めてから半年、この間、政府は何をしていたのでしょうか。加入者や国民に対する説明不足や諸々の準備不足は目に余ります。一方、今頃、見直し論が一部で出て来る与党も与党なら、政局にするため反対で、これまで本気で対案を出さなかった野党も野党です。政府も与野党も、高齢者医療のあるべき姿を踏まえて、加入者と国民の不安、不信をなくすため、今何をすべきか、真剣に検討する必要があります。


4月28日 (月)  265号

4月27日施行の2つの選挙

4月27日(日)は、私にとって関係の深い2つの選挙が投開票されました。

 1つは、衆院山口2区補選で、事前の調査結果から予測されていたとおり、民主党の平岡氏の当選となりました。私も、4月14日、自民党の山本氏の応援に岩国市に入り、状況は好転、追上げムードにあることを私なりに実感して帰りましたが、翌15日から始った後期高齢者医療制度にかかる保険料天引きが、日が経つにつれ、この制度に対する広汎な批判を惹起し、与党に対する強い逆風となり、状況が反転、今回の結果となったと多くのメディアは報じています。

保険料天引きは、具体的な痛みを伴い判り易く、それだけに強烈なインパクトになったのでしょう。それにしても、行政側の事前の説明不足、準備不足は大問題で、この制度の定着には、必要な見直しを含め、今後、相当な努力が求められると考えます。

 さて、もう1つは地元岡山の倉敷市長選挙です。この選挙は、これまで市政を動かして来た現市長と前議長と前収入役による3つ巴の激戦で、結果は41歳の女性である伊東前収入役の勝利となりました。私が総務大臣の際、前市長に云われて、総務省の役人だった伊東氏を倉敷市の総務局長に送り、その後、現市長の要請で私も同意のうえ収入役に昇格した経緯もあり、諸々の因縁を感じています。伊東氏には、中四国初の女性市長として、41歳の若さを生かしながら、倉敷市政に、新風を巻き起してくれることを期待しています。


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