Diary 2008. 2
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2月1日 (金)  240号

つなぎ法案と中国製ギョーザ

1月30日(水)には、大きなニュースがありました。
まず、与野党は、4月以降のガソリン税などの暫定税率維持を含む租特法改正案の取扱いについて、衆・参両院議長のあっせん案を受け入れ、「年度内に一定の結論を得る」ことで合意し、与党は暫定税率を一時的に5月末まで延長するいわゆる「つなぎ法案」を撤回しました。

これにより、与野党の決定的な対立はとりあえず回避されましたが、日本語は難しく、「一定の結論」とは与党が年度内採決を確約したものと認識しているのに対し、野党は確約ではないと主張しており、解釈が違う玉虫的の決着となりました。

しかし、これで道路特定財源のあり方につき、本質的な深みのある議論が始まるとすれば、結構なことです。

次に入ってきたニュースは、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、1月30日には、3家族10人の被害でしたが、時日の経過とともに拡大、現時点では、38都道府県494人が体調不良を申し立てています。メーカーや流通業界による販売中止や製品回収が進められるとともに、日中両国による検査、捜査、行政処分が行われています。これからは、情報伝達の遅れなど行政対応の改善と併せて、一日も早い原因究明と輸入検疫などの再発防止対策が求められます。

食料の6割を輸入に頼る「食料輸入大国」に中国産食品が入らないとなると、わが国の食料事情は大混乱しますが、一方、食の安全、品質にもう一つ信用のない中国産食品は今回の事件で加工品においても大きなイメージダウンとなり、結果として中国経済にも相当なダメージを与えることは確実でしょう。


2月6日 (水)  241号

日本の株安はおかしい

私はかねがね、世界経済に何か起れば、まず日本の株が敏感に反応して安くなり、しかも回復に時間がかかることが理解できないでおりました。今回も、サブプライムローンの影響が一番小さな国で、原油高騰にもっとも抵抗力のある省エネの国が、世界主要国の中で際立って株安となり、低迷から抜け出せないことが不思議でなりません。
一方、日本の企業、特に大企業は、信じられない程の収益を上げ、その国際競争力は抜群です。液晶TV、携帯電話、自動車、航空機、原子力発電などの高技術製品をつくるのに、最終製品メーカーは、他国の企業であっても、日本の製造装置、部品、材料を使わないと良いものはできない、円高であろうが、割高になろうが、日本のそれらを買わないわけには行かないのです。これだけの強味がある日本が、何故、こんなに株安なのか、専門家に聞きたいと思いますが、その一つに日本人の弱気、ペシミズム、それを助長するマスメディアの報道があるような気がしてなりません。外国人投資家は、それに便乗して、わざと日本株を売りまくり、儲けていると言われています。
しかし、武者ドイツ証券副会長によると、こういう異常な事態は長く続かないとの指摘です。日本の株は、今年の後半にかけて必ず高くなる、円高も進み、それによって強い輸出産業の競争力が所得の分配(賃金と物価の上昇)を通じて、内需型産業に波及し、最終的には、国内全体を豊かにしてくれるというのです。
また、今の世界経済は大変に順調で、原油がこれだけ高くてもインフレは起らず、金融引き締めでも潤沢な流動性を保っています。先進国の企業は、世界の安い労働力を使って、膨大な収益を得ながら、それを設備投資などに十分使い切ってないから、世界中がカネ余りとなっているという見方ですが、このカネが原油などへの投機でなく、世界人類のために有効に運用できれば言うことはありません。


2月8日 (金)  242号

政令指定市について

2月7日(木)午後、熊本市に出かけ、「KABフォーラム2008」に出席、パネリストの一人となりました。司会は田原総一朗氏、メンバーは他に木村フィナシャル代表、田中九州JR会長、幸山熊本市長で、「政令指定都市、そして州都へ」というテーマで、2時間私も色々と発言しましたが、ケンケンガクガク、大変面白く賑やかでした。

今熊本市は、合併特例法の期限までに周辺町村と合併し、政令指定市の人口要件とされる70万人以上をクリアしようと、懸命な取組みをしている最中です。
3年後の九州新幹線・全線開通を前に政令指定市に昇格し、道州制になった場合の州都をも視野に入れようということです。もともと、政令指定市の人口要件は、原則100万人以上でしたが、私が総務大臣の平成13年に、平成の大合併に絡む一定の場合は70万人以上でもやむを得ないとする方針に変更しました。この方針で、静岡市、堺市、新潟市、浜松市が政令指定市に加わり、今や17市となっています。

政令指定市とは、簡単に言えば、福祉、都市計画、道路、教育などにおいて都道府県並みの権限と財源が与えられ、国との関係も都道府県並みになるということです。自己決定、自己責任の幅が拡がるわけで、17市の中で北九州市のみ人口微減ですが、他の市はバラツキはあるものの、いずれも相当な人口増加で、都市としての勢いがあることも事実です。

私は政令指定市になれば直ちにその市がバラ色の発展するわけではないが、発展のチャンスをつかむことは間違いなく、後は、その市の努力次第と言っています。
私の地元の岡山市は、来年度春の政令指定市昇格をめざし、最後の追い込みに入っていますし、70万人引下げの引金となった静岡市は、来月、私をよんで政令指定市となった検証をしようとしています、私もがんばらなければなりません。


2月12日 (火)  243号

自治体サミットで

自分で言うのも変ですが、私のメールは割りと好評のようで嬉しく思っています。ただ、メールが段々と長くなって来て、携帯電話では読みにくいというご指摘があり、私もそう思いますので、少し短くします、ご了解下さい。

 さて、3連休初日の2月9日(土)には、珍しく私がコーディネーター役を勤めました。「平和の祭典・ピースフェスタ」(世界連邦運動協会岡山県支部が実質的な主催)が倉敷市で開かれ、その主要行事の「地球平和フォーラム・自治体サミット」においてです。当日は朝から雪が降り寒く、パネリストも最終的には倉敷、総社、備前の3市長のみで、入場者もそんなに多くありませんでしたが、3市長ともそれぞれの平和啓蒙、外国語教育、居留外国人との交流、姉妹都市提携、国際協力などの施業、事業を熱っぽく披露し、最後に共同声明を読み上げて盛り上がりました。
 私も、世界連邦をめざすのは究極の理想としても、当面は国連やサミットを大事にしながら、アジア・太平洋諸国との連携を強化しつつ、自治体が中心となって、足元から多元的、重層的な国際理解、国際協力、国際交流を個別に積上げて行くことの重要性を強調した次第です。


2月15日 (金)  244号

GDP伸び・年3.7%

2月14日発表された、平成19年10月〜12月の実質国内総生産(GDP)は、市場予想を上廻る年率3.7%成長を記録し、国内景気の底堅さを示すものとなりました。

この要因は、輸出と設備投資の増加で、とくにGDPのシェアを16.1%と伸ばした輸出は中東産油国向けや中国などアジア向けの増加が目立ち、米国向けの減少を新興国の成長が補う、いわゆるデカップリング(非連動)の構図を明かとしました。

この輸出を反映し、設備投資も前期比2.9%の高水準でした。ただし、好調なこの2つも米経済の減速というリスク要因を抱えているうえに、個人消費の回復力が鈍いことが気がかりです。

 さらに心配なのは、わが国特有の悲観論で、この高成長は一時的でこれから必ず悪くなるという論者が多く、今回の数字を素直に認めたくない感じです。

本当に困ったもので、個人消費を盛んにするには雇用の改善と賃金引上げに皆んなで努力すれば良いし、住宅投資は今迄の反動で上向くことは確実ですし、小麦などの価格上昇もマズマズ限定的ではないかと私は考えていますが、楽観的に過ぎるでしょうか。


2月19日 (火)  245号

国会同意人事のルール化

 日銀総裁人事が連日、面白おかしくマスコミに採上げられていますが、2月18日、与野党は、衆・参両院の同意が必要な国会同意人事の新たなルールについて合意したと発表しました。対象は、日銀正副総裁(3人)、人事院総裁、会計検査院検査官(3人)、公正取引委員長の4機関8人で、これはおおむね妥当と思われます。
合意した手続きは、

@衆・参の議院運営委員長らがメンバーの「同意人事代表者会議」に政府が候補者を提示、

A衆・参議院運営委員会で非公開の所信聴取を実施、

B衆・参両院本会議での人事案の議決後に議事録を公開、などです。所信聴取の質疑時間など具体事項は早急に衆・参の議院運営委員会で調整する予定です。

 これは、野党案を与党が丸飲みした結果だと伝えられていますが、ねじれ国会の中で3分の2の再議決のルールがない同意人事に新たなルールができたことはまことに結構です。同意人事の対象が35機関200人超というのも驚きで、中には事務的なものも多く、何でも国会同意なら、かえってその権威がなくなる感じですから、この際、同意人事の対象も思い切って減らすことを考えるべきでしょう。


2月22日 (金)  246号

公務員制度改革について

 このところ、政府が国会に提出予定の国家公務員制度改革基本法案をめぐり、その基となった福田総理の私的懇談会の報告書をどこまで採入れるかに関し、政府原案の表現などに閣僚間でも異論があるだけでなく、自民党内も慎重姿勢の行政改革本部と積極派の国家戦略本部も対立していると面白おかしく、メディアが報じています。この種の報道は、意図的に流されることもあってどこまで信用できるか定かでありませんが、昨年夏まで自民党の公務員制度改革委員長として、基本法の制定を主張して来た私としては、心中穏やかではありません。

 言うまでもなく公務員制度は百年の大計であって、その抜本改革は冷静周到な検証を経てなされる必要があります。報告書の中で注目されるのは、

@人事を一元管理する内閣人事庁の新設、

A政務職による限定した政官接触、

Bいわゆるキャリア制度の廃止などです

 これらはいずれもかねてから論議されて来たもので、メリット・デメリットから賛否両論があるのは当然で、政府・与党としては、幅広な議論のなかで、よりよき制度設計に意見集約を図って行きたいという考えは、十分に理解できるところです。


2月26日 (火)  247号

地方自治の講演会で

 このところ、地方での講演が多く、しかも、テーマは政局展望等が主力のなかで地方自治に関するものが珍しく3回も続きました。
 2月18日(火)夜は、埼玉県の川口青年会議所例会で県下JCメンバーに、21日(木)午前には、鹿児島県市町村連絡協議会で県下自治体関係者に、24日(日)午後は、福井県越前市の区長連合会総務大臣表彰記念式典で、市長、市議会、市民の方々にです。いずれも1時間程度の講演で、その後の若干の質問を含め、皆さんがともかく熱心に聞いて頂いたことを大変嬉しく思いました。

 話の内容は会合によって違って来ますが、次の諸点は同じことを話しました。

それは、

@ わが国の地方自治は、昨年で還暦を迎え、それなりに成熟して来たけれども、自主自立の意欲、自浄能力がもう一つで、いまだ国民の十分な信頼を得ていないこと、

A 第一次地方分権改革は相当の成果を挙げたものの、権限移譲、税財源配分はなお中途半端で、その徹底は平成22年までの第2次改革に期待せざるを得ないこと、

B これからの地方自治は「豊かな公、小さな官」をめざし、住民の「奉私奉公」の精神による協働型でなければならず、それにはまず家庭の重視、コミュニティの再生を図るべきこと、などです。


2月29日 (金)  248号

片山政経セミナー・発会式

 2月28日(木)午前8時から9時過ぎまで、片山政経セミナーの発会式兼第一回会合がホテル・ニューオータニで開かれました。

 当日、7時40分頃、私が会場に着きましたら、すでに7割近い方々が着席して朝食中で、恐縮しました。入会して頂いた企業は、現時点で各業種の大手を中心に46社、有名企業の会長、社長も多く来られ華やかでしたが、出席者の総数は随行を入れて60名でした。

 式次第では、幹事社よりの開会挨拶を旭化成渇長 山口信夫氏が行い、続いて発起人代表として、前参議院自民党議員会長 青木幹雄先生、経済界代表として、日本経団連会長 御手洗冨士夫氏とトヨタ自動車椛樺k役 奥田碩氏がそれぞれ挨拶をされました。分に過ぎたお褒めの言葉と政界復帰への暖かいお励ましを頂き、感激しました。

 その後、元内閣総理大臣森喜朗先生が約50分間、政局全般について講演、要所要所では青木先生や私を引き合いに出されながら、有益かつ興味深い内容で、あっという間に時間が経過し、したがって意見交換は省略、最後に私がお礼と閉会の挨拶をしました。とくに、私にもう少しわが国と皆様のお役に立てればという想いがあるなか、このような「よりどころ」をつくって頂き、大変有難く、今後とも皆様の変わらぬご指導・ご支援を心からお願いしたいと申し上げた次第です。


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