Diary 2007. 10
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10月4日 (木)  206号

ベルリンにて

 10月1日から、日本消防協会長としての用務で、ヨーロッパに来ています。来年5月、日本消防協会が総務省消防庁と協力して始めて開催する「消防団国際会議」に、CTIF(ヨーロッパを中心に五十数カ国参加の義勇消防の国際組織)総裁やドイツ消防協会(消防団100万人と青少年消防団25万人を擁する)長などに協力を要請するためで、連日がんばっています。
 始めにベルリンへ15年ぶりにやって来ました。前回の訪問は、ベルリンの壁がなくなって数年後で、東西ベルリンの格差は大きく、壁があった中心部は荒廃のままでした。あれから15年、見事に復活、国会周辺、内閣府、中央駅は自然や景観を生かした都市計画が行われ、ソニー、ダイムラーの民間活力による都市再開発も成功、大変な賑わいでした。ベルリンは緑地も多く、弱点とされた国際空港も整備中で、ドイツの持つ集中力からすれば、これからの発展も期待されます。
 政治はご承知のとおり、平成17年11月から、キリスト教民主同盟・社会同盟と社会民主党の大連立政権で、連邦議会(下院)614議席のうち448議席、連邦参議院(上院)69議席のうち44議席で超安定、メルケル女性首相も着実で、評判も上昇中ですが、付加価値税(消費税)は、今年1月から、財政健全化のため、16%から19%に上げています。


10月8日 (月)  207号

ヨーロッパで感じたこと

 ヨーロッパ出張では、ドイツの後はスイスへ廻り、チューリッヒではエッカーCTIF総裁と昼食をしながら懇談、ルツウェルンに泊って登山鉄道でユングフラウヨッホ(3,454m)へ登り、山岳救助や草の根ボランティアの現状を知りました。そして、イタリアのヴェネツィアへ、11世紀から15世紀にかけて、海上貿易国家として隆盛を極めた世界史上でも有名なところですが、常備消防は市でなくヴェネツッア県が担当でダッティロ本部長の話を聞くとともに水上消防の実態を視察しまた。
ヨーロッパでは、各国の生い立ちや伝統から、地方主義が強く、ドイツ、スイスは連邦国家でもあり、内政は州政府が中心で消防法制も消防の実動などもすべて州政府任せです。連邦政府は州政府間の連結調整の他は、ABC災害など特殊なものの対応に限られていて、日本は中央集権ですからと言われたのには驚きました。
 さて、3ヵ国訪問を通じて、ユーロ高いせいか思ったより日本人観光客が少なく、中国・韓国系のツアー客がよく目についたこと、そのユーロがEC諸国で定着し、しかも高値で通貨統合は成功したと思われること、落書が都市や観光地で大流行、同筆致で品が悪く、環境美化面からも撲滅する必要があることを感じましたので、余談ながら申し添えます。


10月12日 (金)  第208号「ラジオ番組のコメンテーターに」

 私は、10月から、ニッポン放送の依頼でラジオ番組「お早うgood day」の金曜日担当のコメンテーターを引き受けることにしました。早朝6時から8時までの番組ですから、5時45分にはスタジオに入らなければなりません。10月5日は外遊中でしたので、簡単な録音で済ませ、実質第1回目は10月12日ですが、前夜の就寝が遅かったものですから、5時20分頃家を出るのはつらくて、眠くて、終日大変でした。
 番組は大体3〜4人の構成で、パーソナリティは上柳局アナ、コメンテーターは私の他に中東問題の権威の大野元裕さん、それに女子アナです。話題は当日のニュースそのものを採り上げるわけで、当日は早朝、首都圏の一部交通機関の自動改札システムが稼働せず、ラッシュアワーに混乱が出、そちらに大分時間が割かれました。また、衆・参の議員会館の建直しに、1700億円かかり、議員一人当たりの部屋面積が40uから100uになることが良いのか、先だってTV中継もされた衆議院予算委員会の基本的質疑の印象如何、安倍前総理と福田総理の答弁ぶりの違いなども聞かれ、付け加えて予算委員会の性格や仕組みも説明しました。私自身、参議院予算委員長時代、国会史上始めての委員長答弁をし、与野党爆笑した裏話も披露しました。初めてにしてはまずまずだったと自画自賛しています。


10月16日 (火)  第209号「福田路線の今後は

 私は、このところ、幅広いメディアの取材を受けることが増え、テーマもずばり「今後の政局の行方」風のものが多くなっています。とくに皆さんは福田新政権が「ねじれ国会」をどう乗り切って成果を出して行くのか、安倍政権が果たせなかった本格政権になることができるか、という点に関心があるようです。 
私は、現在の福田総理が意図的に行っている野党、とりわけ民主党に対する低姿勢・対話路線は、やむを得ないからというだけでなく、そもそも国会運営のあり方として正しいものだと思っています。議員になりたての頃、国会運営は与野党73の構え、野党に7、与党に3の配慮が行われるべきだと教わり、参議院自民党国対委員長時代にも、それに心がけたつもりですが、さて実際はどうなのか。それはさておき、参議院では民主党が完全な主導権を握っている以上、民主党の国政に対する大きな責任を共有してもらうことは当然で、それには、低姿勢・対話路線は不可欠でしょう。また、私は、福田政権は本格政権になりうる十分な可能性を持っていると
思いますが、国民の好感と期待を維持し続けるためにはタイミングよく「ばける」ことも必要で、臨時国会終了から通常国会開会までに、大幅な内閣改造を行い、国民の目線で骨太の政策を打ち出し、その着実な実行を担保することが、第一関門です。


10月19日 (金)  第210号「新テロ特措法案 審議へ」

 政府は10月17日の臨時閣議で、海上自衛隊によるインド洋での給油活動を継続するため、新テロ特措法案を決定し、国会に提出しました。政府・与党の要請により、10月23日から審議入りすることとなりましたが、野党側は依然として反対姿勢を崩しておらず、現行法の期限切れとなる11月1日までの新法案成立は困難な見通しで、海自の活動中断は避けられない見通しです。
マスコミは、面白おかしく、@衆議院通過、参議院廃案(小幅延長)、A衆議院で継続審査(延長なし)、B衆議院で再議決・成立(大幅延長)と新法案のシミュレーションをしていますが、衆議院の解散・総選挙が絡み、世界も注視していますから、この決断はそう容易ではないと考えます。それにしても民主党・小沢代表のいうように、国連決議さえあれば、国際治安支援部隊(ISAF)に参加しての武力行使も憲法上許される一方、国際社会も大きく評価している非戦闘地域における給油活動が、不朽の自由作戦(OEF)は米国の自衛権の発動として始まったのだから憲法違反だという理屈が、私にはよく判りません。長年の国会での論議を無視したうえに、国連決議の有無が合憲、違憲の決め手になるということは、なかなかに理解されないところでしょう。


10月23日 (火)  第211号「新テロ法案の行方」

 新テロ特措法案の雲行きがあやしくなって来ました。本23日に衆議院本会議での法案の趣旨説明・質疑は行われ、形式的には審議入りとなりますが、実質審議である委員会審議に入れるかどうか予断を許さない状況です。というのは、このところ連日マスコミに報道されているように、守屋前事務次官と関連商社との癒着問題が表面化し、さらに給油の誤数字訂正問題、給油の転用疑惑なども出、それらを解明する必要から、法案審議に先行して関係者の証人喚問などを行うべきだと、野党が主張しているためです。
 報道されているこれらの不祥事が事実とすれば、全くあきれるばかりで、わが国の安全保障の担い手であり、国際貢献の先頭に立っている防衛省の組織や事務方トップがこれでは、また何をか言わんやです。防衛省は一刻も早く組織も個人も総点検し、構造的問題を含めて大粛正・大改革を図らなければ国民の信頼を回復することはできないでしょう。しかし、そうだからと言って、新法案の審議を先延ばしてよいということにはなりません。新法案は、わが国の国益に大きく絡み、国際的にも注視されているものです。党利党略や国会対策の駆引きに使ってよいものではありません。私は給油活動の中断もできるだけ短いほうがよいと思っておりますので、早急な実質審議入りを望みます。


10月27日 (土)  第212号「亀田一家について」

 10月26日午前9時から協栄ジム・金平会長と亀田一家の長男興毅君の記者会見をTVで見ました。興毅君がこの記者会見に5〜6分遅刻したことは頂けませんが、記者会見では彼なりに一生懸命、受け答えしていて、それなりに好感が持て、彼へのイメージが今迄と違って来ました。弟大毅君の出たWBC世界フライト級タイトルマッチ戦では、すでに有名なように、品のない反則を繰返し、しかもその反則を父史郎氏と興毅君が指示したとして、世論の袋叩きに合ったのはご承知とおりで、その謝罪、釈明会見に興毅君は父に代って出て来たわけです。
私は亀田一家についてはよく知りませんが、その特異な親子関係、変わった試合ぶり、パフォーマンス、傍若無人な言動など洪水のような情報からよい感触は持ちませんでしたし、一部のTV、雑誌などメディアの持上げ方にも異常なものを感じていました。亀田一家の方は、持ちつ持たれつでメディアを利用して、その虚像をよりふくらませて行ったと思われます。「奢る平家は久しからず」、批判も始めていたメディアは、今回の試合を転機に、一斉に徹底的なバッシングに転じました。無責任な見事な方向転換です。


10月30日 (火)  213号

守屋前次官の証人喚問

10月29日(月)午後1時から2時間半、守屋前防衛事務次官に対する証人喚問が衆議院のテロ防止特別委員会で行われました。

与党が1時間半、野党が1時間で、与党質問も異例のきびしさでした。
守屋前次官は、それなりの低姿勢で、すでに報道されている宮崎山田洋行元専務の接待についてはその殆んどを認めたものの、贈収賄の恐れのある便宜供与、職権行使についてはすべて否認し、国会で問題となっている給油量の訂正や給油の転用等についても自身の了承、関与は否定しました。

それにしても今回の過剰接待はひどいもので、防衛省・自衛隊27万人の平素の努力を無とする言語道断な行状です。事務方トップが倫理規定違反を最近まで
平然とやってきたとはあきれるばかりです。事実をすべて解明し、はっきりと責任をとってもらう必要があることは言うまでもありません。

しかし、それにしても国会で何かが起こる度に証人喚問・参考人招致と大騒ぎするのは如何でしょうか。成功したと思える事例は少なく、今回も行為が整理され、ある程度のことは明確になりましたが、それ以上でもそれ以下でもありません。国会における証人喚問のあり方についてもう一度検証されるべきだと感じる次第です。


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