Diary 2006. 3
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3月3日 (金)  56号

「ジニ係数」とは、厚生労働省が3年に1回実施する所得再配分調査によるもので、国民間の貧富の格差を表すと言われています。
 現在は2002年調査しかなく(2005年調査は本年中に公表)、それは裸の所得で0.4983、税と社会保障による再分配で平準化されたものが0.3814です。
 野党は、小泉改革により、ジニ係数が大きくなり、格差が拡大していると主張しています。
 数値はともかく、格差拡大の実感は、2月21日付某紙の世論調査で71%が感じると言うように、確かに出ています。

@実感の根拠に@大都市と地方都市と田舎の賑わい
AホリエモンなどITビジネスにみる一攫千金と時給6〜700円のパート
B生活保護が148万人を超えたこと
C若者のフリーター化やニート化の拡がりなどがあります。
 
 小泉総理の言う、「努力が報われ、再挑戦できる社会」は正しい方向ですが、それと同時に努力しても失敗する自由、失敗してもスムーズに再挑戦できる環境、本当に困ったときのセイフティ・ネット−など、「勝ち組」と「負け組」を固定せず「待ち組」も減らす、社会の懐の深さが今、求められています。


3月7日 (火)  57号

3月6日、7日の両日にわたって参議院予算委員会で代表質問をしました。NHKのTV中継を見て頂いた方もあると思いますが、合わせて2時間15分で、結構長く、TV中継ですから、視聴者の皆さんに、判り易く、面白く、しかも中身のあるヤリトリでなければと努力しました。
予算委員会が開かれる第一委員会室は、古くく、広くて、しかも代表質問の際は、一杯に傍聴者と報道陣が詰まりますから、独特の雰囲気となります。ここで、最初に代表質問に立ったときは、さすがに緊張しましたが、何度も立っていますから(恐らく自民党の国会議員の中では最多ではないかと思います)、もう馴れています。
 2時間15分、小泉総理を中心に、関係閣僚と、小泉改革の総括、ポスト小泉、改革に伴う「光と影」、共存共栄の思想、改革の総仕上げ(歳出歳入一体改革、三位一体改革、道路特定財源、公務員制度改革、ODA改革など)、いわゆる4点セット(ライブドア、耐震強度偽装、米国産牛肉輸入、官製談合)、NHKのあり方につき、熱い論戦をしました。出来は、皆さんにお任せしますが、私としては80点を付けています。


3月10日 (金)  58号

日銀は、3月9日開いた政策委員会・金融政策決定会合で、平成13年3月から続けた「金融の量的緩和政策」の解除を賛成多数で決め、即日、実施しました。
 ただ、解除後も当面はゼロ金利政策を維持し、長期国債の買い入れも継続し、できるだけ景気に影響を与えないよう、配慮しています。世の中に出回るお金の「量」を増やして経済にテコ入れする異例の金融政策は終わり、「金利」を上げ下げする本来の手法に戻るわけで、わが国の金融政策は大きな転換点を迎えました。
 解除後の金利や物価を安定させる新たな枠組みについては、「中長期的に安定し
ていると考える物価上昇率」として前年比0〜2%程度(中心値は1%前後)という数値を示し、これを念頭に金融政策を運営していくことを明らかにしています。今回は、日銀の専管事項を、日銀の責任で決断したわけですから、これを尊重し見守るしかないと私は考えます。


3月14日 (火)  59号

 在日米国基地再編に伴い米海軍厚木基地から米海兵隊岩国基地へ米軍機が移駐することの賛否を問う山口県岩国市の住民投票が3月12日、投開票されました。
 反対票が4万3433票で投票総数の87%に達し、投票資格者全体の51%を超えました。 岩国市長は、この結果を受けて、移駐案の撤回を求めると述べていますが、疑問です。
 安全保障や防衛の権限と責任は、専ら国の管轄で、地方自治体の問題ではないし、いわんや、その受入を、地方自治体として住民投票で決めようなどということは極めて不適当です。住民投票は住民の意向を知る良い手段ですが、何らの法的拘束力も持たず、したがって、政府がこの結果に縛られるわけはなく、また、縛られるべきものでもありません。
 近年、法的要件でないにもかかわらず、住民投票が行われることが散見されますが、往々にして首長や議会の責任転嫁、責任回避のきらいがあることは残念です。


3月17日 (金)  60号

3月15日、今月の月例経済報告が関係閣僚会議に提出されました。官邸でのこの会議には、与党の幹部も出席することになっていて、私も毎月、出ています。ご承知のように、景気の基調は極めて良く、バランスがとれて、回復しております。物価については、前月の表現が「改善がみられるものの、緩やかなデフレ状況」に修正されました。 会議の席上、日本の物価上昇率の低さが話題となり、1985〜2005年までの各年における前年比の平均が0.6%、デフレの時期を除いた1985〜97年の平均でも1.2%、物価の優等生といわれるドイツやスイスよりも、おおむね1%低いとの説明に、私を含め出席者の多くは、びっくりした次第です。 この景気好調の波乱要因は、トリノ・オリンピックにちなんで、イタリア語の「CHAO」、Cは中国経済、Hは高い利子、Aは米国経済、Oは原油高だそうですが、これらには今後、ご用心、ご用心というところでしょうか。


3月21日 (火)  61号

後半国会の焦点の一つが、国民投票法案の行方です。
 現在、衆の特別委員会と参の調査会の自公民理事を中心に、公式、非公式の調整が行われていますが、前行きしておりません。
 論点のいくつかの中に、この法案を憲法改正に限らず、国民投票の一般法にするという意見があるようです。
 わが国は、議会制民主主義であるうえに、現行法制において国民投票を要件としているものは皆無ですから、一般法をつくる理由が判りません。
 また、投票権者を18歳まで下げるという主張も、現行の選挙権は20歳以上と法定され、民法、刑法なども成人は20歳以上としていて、その間整合されていることを考えると、これだけ18歳とすることは問題です。
 投票の仕方も色々と議論が分かれていますが、衆・参の3分の2以上の多数で合意した改正案ができるわけですから、改正の個別項目ごとでなく、改正案全体で、是非を国民に問うことが、判り易いし、適当だと考えます。


3月24日 (金)  62号

昨年8月末、私は乞われて岡山県農業会議会長に就任しました。今まで農業とは通り一遍の付合いしかなかった私には、いささか勉強を要することですが、就任して7か月を経、中央と県の会合にも出、関係者とも意見交換し、小泉構造改革の推進、とくに私が総務大臣時代に進めた「三位一体改革」と「市町村合併」が地域農業の振興はもとより、農業委員会系統組織のあり方にも、良くも悪くも大きな影響を及ぼしていることを知りました。 現在、農政そのものも、大きな転換期にあり、WTOでの各国との攻防もさることながら、平成19年から導入される新たな経営所得安定対策や米対策の見直しを成功させなければなりませんし、一部で選択制が提案されている農業委員会系統組織の今後の役割も十分、念頭におきながら、系統組織に正に期待されている「認定農業者などの担い手づくり」や「農地の利用集積の促進」に、成果を出すべく私を含め関係者が現在懸命にがんばりつつある実情を、この際、PRしたいと思います。


3月28日 (火)  63号

 平成17年は、出生数が110万人を下廻り、戦後始めてわが国が人口減少社会に転ずることが判明し、少子化問題が、改めて国民の大きな関心をよんでいます。某紙の調査では、これを深刻な問題と考える人87%、今の日本は子どもを生み育てにくいと考える人76%という状況です。
 現在ある会議の他に、政府・与党は少子化対策の協議会をつくり、一体で精力的に取組む姿勢を示していますが、政府のアンケート調査によれば、少子化対策としての要望は「経済的支援の充実」が最も高く、「生活環境の整備」「保育所の充実」「再就職支援」などと続きます。
 いずれも新しい発想のもとに要検討でしょうが、私個人は、即効的な出産そのものにインセンティブを与える政策(例えば一部の市町村の出産奨励金など)と、迂遠のようでも、家庭、家族の良さ、重要さを見直す政策を、合わせて検討する必要があると考えます。


3月31日 (金)  64号

 自民党財政改革研究会のP.T.は、国の財政再建に向けて総額112兆円を上廻る政府資産の圧縮を盛り込んだ中間報告を発表しました。中間報告によると、特殊法人や地方自治体などへの貸付債権を小口化し、証券として市場へ売却するものが100兆円超、庁舎や公務員宿舎など国有財産を民間から有効活用策を募集して売却するなどで12兆円超の収入を見込んでいます。
 この案が全く間違いだとは私も思いませんが、実現性や財政再建への効果となると、かなり問題です。100兆円の証券化の方は、財投債の償還には充てられますが、普通国債残高の圧縮にならないばかりでなく、証券化する機関や商品によってはかえって数兆円の国損を生む恐れがあります。12兆円の売却の方も利便性の高い場所以外では買い手がつかない可能性が強い。112兆円という大きな数字が一人歩きして、無用の誤解と混乱を生むことだけは避けたいものです。


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